コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“コミケでのイラっとする出来事”を描いた漫画『コミケで本当にあった怖い話 値切り男』をピックアップ。
病院に勤めながらイラストや漫画を描いてる休憩うさぎさんが、2023月4月13日に本作をTwitterに投稿したところ、7700件以上の「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では、休憩うさぎさんに作品のこだわっているポイントやお気に入りのシーンなどについてインタビューをおこなった。
男性客の度重なる失礼な言動に怒り爆発!
コミケで自身の描いた作品を販売していた主人公(休憩うさぎさん)。そこに訪れた1人の男性客は、主人公が販売する漫画の値段を見て「2000円!?」「たっっか!!」と言い捨ててその場を去っていく。
そもそも、244ページで2000円という価格は一般的な値段。にもかかわらず失礼な言葉を浴びられたことで“アンチの人かも”と考える主人公だったが、数分後にその男性が再訪。しかし「うーん2000円だしなぁ」とぼやいては立ち去り、その後も同じような発言を繰り返しては買わずにその場を離れていくのだった。
そして4度目の再訪では「あの…これいくら…?」と値段を再度聞いてくる始末。男性の失礼な言動に主人公も“なんなんだこいつ”とかなり苛立ちを隠せずにいたものの、結局男性は悩んだ挙句「一部下さい」と購入を決意する。
“結局買うのかよ”と心の中でツッコミを入れつつも、自分の作品を買ってもらったことで機嫌を取り戻した主人公。しかし、購入時に男性が放った“嫌味なひと言”でついに怒りが爆発。最後のページでは衝撃的な画とオチで幕を閉じている――。
実際に起きたエピソードをコミカルな展開で読みやすくまとめた本作。Twitter上では「読んでいて思わずイラっとしたけど、最後のオチで気持ちがスカッとした(笑)」「こういう失礼な値切り男はよくいるから、すごく共感した!」などのコメントが多数寄せられていた。
「読ませる」漫画ではなく「見せる」漫画になるように“絵”で表現
――「コミケで本当にあった怖い話 値切り男」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
自慢ではないのですが、私は同人即売会に行くと7~8割の確率で対応が難しい参加者様と接触します。その詳細を友達の同人作家様方にお話しすると、「面白い、もっと聞かせて」「そんな人もいるんだ…怖いけど面白いね」など肯定的な意見をよくいただきました。そのため、漫画にすると色んな方に受けるのではと思い描かせていただきました。
――本作では、思わずイラっとするエピソードがわかりやすく描かれており、笑える要素も盛り込まれていて非常に読みやすい印象を受けました。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
ありがとうございます。こだわりはたくさんありますが1つに絞るなら、SNSに投稿する漫画は「読ませる」漫画じゃなく、「見せる」漫画になるようにしていることです。
例えば“イラっとする言葉を言われて怒る”という場面を表現する場合、
1.「なんだあいつ…次来たらミンチにしたる…(怒)」という心理描写
2.セリフなしでただただ鬼のような形相をしている描写
の2パターンあるとしたら、圧倒的に絵のみで表現している後者の方が破壊力を持ち、かつ読み手に労力をかけない表現であると思います。
私がSNSを閲覧するときは「疲れたとき」「やる気が出ないとき」「ボーっとしてるとき」が多く、情報量の多い漫画はどうしても最後まで見れず、あとで読もうと“いいね”だけで済ませちゃうこともあります。(そのまま忘れてしまうこともしばしば…)
そのため自分の描く漫画は、そういった状態の方々でも楽しめるよう「絵で表現できるところは絵で表現する」「文字は読みやすいよう大きくする」「最低限の文字数で済ませる」など読み手に頼る力をかけないようにすることを意識しています。
――休憩うさぎさんが特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
ぶん殴るところですね。最後のアッパーカットを決めるシーンです。自分で漫画を見返すときに何度見てもクスっと笑ってしまいます。
派手に見せたいシーンは写真のような正確さは必要ないと思っているので、雑に気軽に描けるってところが好きですね。
――休憩うさぎさんの作品に登場するキャラは、全体的に愛着が沸くような可愛らしさを持ちあわせており、表情も豊かで心情がわかりやすいと感じました。普段作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
細部まで見ていただき、ありがとうございます。そうですね、全体的に丸っぽい絵になるよう意識しています。特に顔の輪郭や身体のライン。髪の毛の先端までも丸くなるよう角を取っていますね。
もともと漫画『よつばと!』に登場する主人公の小岩井よつばというキャラクターが好きで、よつばの丸いタッチや雰囲気からそういった影響を受けているのかもしれません。
――今後の展望や目標をお教えください。
絵日記漫画をもっとたくさん描いてみたいですね。同人即売会の話以外にも漫画化したい面白エピソードがたくさんあるのでそれを形にしてみたいです。作品が溜まったらKindleやコミケに出す予定です。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも休憩うさぎの作品を楽しんでいただきありがとうございます。おじいちゃんになっても漫画を描き続け、同人イベントに参加したいと思います。これからもどうかよろしくお願いします。