遠藤達哉の人気漫画をアニメ化し、シーズン1が2022年に放送されるや大きな反響を呼んだ「SPY×FAMILY」。実写舞台化に加え、2023年秋にはTVアニメシーズン2の放送、同12月には劇場版アニメーションの公開も決定しており、今後ますます「SPY×FAMILY」人気が加速することは明らかだ。こんなに面白くて、次の展開が楽しみになってきて、誰かと語りたくなるような内容で、キャラクターも親しみやすいのだから、多くの人に刺さるのは当然かもしれない。主人公の(仮の)妻は、実は殺し屋でもあるという設定もグッとくるところ。この“殺し屋”ヨル・フォージャーをニュアンスに富んだ声使いで演じているのが早見沙織だ。
「SPY×FAMILY」のヨルを好演
表面上は市役所の事務員として働き、スパイである“夫”ロイドと孤児院育ちの“娘”アーニャと思惑を一致させて仮の家族を構成している。つまりヨルは仮の妻、仮の母を同時にこなしているわけだが、幼いアーニャに対しても敬語で話す姿勢を崩さず、堅さがとれることはない。料理も時折行うものの、こちらにおいては信じられないほどマイナス方面の才能を発揮。一般的な食材から見たことのないような色合いや、名うてのスパイのロイドですら体験したことのないような味の料理を創り出すのだから、逆にとんでもないクリエーティビティである。
肉体系の接触に関しては非常にシャイだが、一方で大変な怪力の持ち主であり、弟のユーリ(シスコンである)を片手で吹っ飛ばすことなど容易だ。優しい母の顔、怒るとめっちゃ怖い殺し屋の顔、事務員としてのクールな顔。早見は表情豊かな発声で、ヨルのいろんな側面を届けてくれる。
来たる6月に2部作で公開される「劇場版セーラームーンCosmos」では、キーパーソンの一人・セーラースターメイカー/大気光の声を演じるなど活躍、常に陽のあたるところを歩んでいる印象があるものの、そんな彼女にも当然、始まりの時期があった。
中学生の時に声優養成所で、ならはしみき(「ちびまる子ちゃん」のみぎわさん、「クレヨンしんちゃん」のみさえ役など)らに学び、2007年に「桃華月憚」でアニメ声優デビューを果たした。それからの仕事量はすさまじく、代表作として知られているものを挙げていくだけでも、この何倍もの行を必要とするだろう。「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」(新垣あやせ)、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(鶴見知利子※つるこ)、「魔法つかいプリキュア!」(キュアフェリーチェ/花海ことは)、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」(雪ノ下雪乃)、「聲の形」(西宮硝子)、「アイドルマスター シンデレラガールズ」(高垣楓)、「鬼滅の刃」(胡蝶しのぶ)など、早見は常に必要とされるところにいる表現者であるという印象を持つ。
最新アルバムもリリース間近
活動初期から取り組んできたキャラクターソングの歌唱に加え、2015年からはアーティスト活動も開始。5月24日(水)には最新オリジナルアルバム『白と花束』が、先んじて3日(水)にはリード曲「Abyss」がデジタル先行リリースされる。
個人的には“徹底的に構築されたドラマティックな音作りの中、感情を込めたボーカルで歌いきる”イメージがあるのだが、今回はどんな深みのある音楽世界に案内してくれるか。楽しみが高まる一方なのは私だけではないはずだ。
なお、「SPY×FAMILY」シーズン1は、ディズニープラスのスターほかで配信中。
◆文=原田和典
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/spyfamily/
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