コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“恋人や結婚相手に対する考え方”をテーマに描いた漫画『同じ人とずっと一緒で飽きないんですか?』をピックアップ。
作者である漫画家の虹走さんが、4月8日に本作をTwitterに投稿したところ、1.3万件の「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では虹走さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
同じ人と同じ所に行くのは飽きる…メエ君の考えに「“飽きる”っていう感覚がよくわからない」の声
物語は、主人公(虹走さん)が昔の上司である「メエ君」から「同じ女性とずっと一緒って…正直飽きませんか?」と質問をされるシーンから始まる。メエ君はこれまで色んな女の子と付き合ってきたものの、デートで同じ所に行きたくないため、すぐに行く所がなくなってしまうとのことだった。
たとえ相手のことが好きでも飽きてしまうため、“結局また別の女の子と付き合ったりする”というメエ君。そこで結婚生活が長い主人公に「どういう風に飽きない工夫をしているのか」と質問するのだが、そもそも主人公は他人に対して飽きない性格。そのため、妻と同じ水族館に何度も行き、丸一日入り浸って楽しめるというのだ。
しかし主人公の考えが理解できないメエ君は、「同じ女の子と同じ所にデートは絶対行かないし行きたくないの!!」と主張する。その場にいた女性(主人公の元上司)からは、「要するに趣味とか価値観が合う相手にまだ出会えてないって事なんじゃないの?」「キミは飽きっぽい人って事だ」などと諭されるのだった――。
そしてこの飽きる/飽きない論争をきっかけに、妻のことを思い浮かべた主人公は“飽きるワケないんだよなぁ”と改めて実感。妻と一緒にいる時が“一番ポカポカする”と感じているため、「飽きる飽きない以前の話なんだよな」と考えるのだった。
同じ人と同じ場所へ行くことについて考えさせられる本作。Twitter上では主人公の考えに共感する人が多く、「僕も妻と一緒に何度も同じ場所へ行ったりするけど、“飽きる”っていう感覚がよくわからない…。その時によって会話の内容も違うし、全然楽しめる」「好きな人や大切な人に関しては“居なくてはならない存在”だから、飽きるうんぬんの話じゃないと思う」などのコメントが続出。
また主人公に対しては、「虹走さんが妻をどれだけ愛しているかが伝わってきてほっこりした」「『ポカポカ』って表現が素敵。本当に理想の夫婦で羨ましい」などのコメントが寄せられている。
ネタのアイデアは「妻を見ているだけで描く事が沢山湧いてくる」
――『同じ人とずっと一緒で飽きないんですか?』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
今回のお話自体は少し前の話なのですが、漫画の中に登場しているヒツジの姿をした「メエ君」たちと、メエ君の近況についてお話をする機会がありました。なので当時の事を思い出す良い機会として描く事にしました。それだけメエ君はボクにとって印象的な方でした。
――本作では、“パートナーとずっと一緒にいて飽きるか飽きないか”の論争はもちろん、主人公(虹走さん)の妻に対する“愛情の深さ”が伝わってくるシーンも非常に魅力的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
当時の飲み会での会話をなるべくそのまま描いたのですが、登場している仕事場の方々を描くのに気持ちをこめました。顔を知っている人を描くのはいつも緊張します!また、妻といる時ボクはいつもゆるゆるなので、途中で顔が変わっていますね。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
やはり1ページ目の1コマ目ですね。当時、この話をされて一番印象的な瞬間でした。メエ君はハッキリと物を言う方なのですが、こういう風に質問されてどんな顔をしていいか分かりませんでしたから(笑)。
――普段作品のネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?また本作を描いたきっかけもあればお教えください。
ボクの漫画は基本的に日常の中のボクの体験を形にしているのですが、ほんの少しでもボクの心が「おっ」と思ったら漫画にできるようにしています。ボクの人生はボクしか体験してないので、他の人から見れば面白いと思ってくれるような出来事もあると思っています。
あと忘れてはいけないのは妻の存在ですね。妻を見ているだけで描く事が沢山湧いてくるので、日常から妻の事を気にするようにしています。
――虹走さんの作品では、動物キャラと人間キャラの両方を登場させている点がとても印象に残ります。なぜ動物キャラと人間キャラの両方を描くことにしたのでしょうか?また登場キャラによって“動物にするか人間にするか”を決めている場合、どのような基準で決めているのかもお教えください。
ハッキリ言ってしまうとボクは女性を描くのが好きなのです。そして女性はそのまま描いても絵になるので助かっています。逆に男性は描くのが難しいです。絵としてではなく、気持ち的に魅力的に描く事が難しいです。
なのでそういう場合は動物キャラで描きます。動物は動物で完成した形をしているので、どう描いても魅力的になるのでいいですね。何をしていても絵になりますから。(今回の漫画だとヒツジがジョッキ持ってグビグビしてる所とか…)
ちなみにボクのキャラは基本的にシンプルな形をしていますが、これは沢山楽して描けるようにしているからです!
――虹走さんは普段マンガの作画をおこなう際に、こだわっていることや特に意識していることはありますか?
なるべくその場の間(ま)や空気感を意識しています。それがどこまでボクに扱えているかは難しい所ですが…。例えば今回の漫画の1ページ目の2コマ目のような部分が分かりやすいかもしれません。
読者の方に漫画の中で伝えられるのは、ほとんどの場合は絵と台詞の組み合わせだけになってしまうので、その場の空気感や間を意識すると、ドラマなどの動画の中にあるような“リアル”を持ち込めると思っています。とはいえ、漫画という形だとどうしてもページやコマ数の関係で詰めてしまいがちです。でも、こういう間がある方がボクは好きなのです。
――今後の展望や目標をお教えください。
できるだけ沢山の方に漫画を見てもらう事を目標に、自分の漫画を長く描いていきたいと思っています。また、今のようなエッセイ以外にもオリジナルのストーリー漫画も描いていきたいですね!そして妻の事をこれからも大切にしていきたいと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつも見てくださり、ありがとうございます!ボクはインターネット上で漫画を公開するところから始まったので、SNSなどで応援してくださる方がいらっしゃる事が励みであり、漫画を描く原動力にもなっています。なのでこれからも引き続き応援していただけると嬉しいです!