物語のキーパーソン・トリンドル玲奈演じる百合に注目
佐久間:百合は主人公の憧れで、目標となる存在なので、お芝居だけではないオーラというか、華のある方にお願いしたくて。トリンドル玲奈さんは、今すごくお忙しいじゃないですか。前クールも掛け持ちでドラマをやられていて、今クールも2本出演されていて。そんな中で受けていただけて、本当にありがたかったです。ご本人はすごく笑い上戸で常に笑っていて、現場の雰囲気を明るくしてくださって。ただお芝居になると本当に真摯で真面目で、1つのセリフもすごく悩みながら、丁寧に演じてくださっています。上司である百合が、このセリフをスミレにどういう風に言うだろうかとか、役の立場ですごく考えられていて。宗一への感情も、好きとか恋とかで単純に割り切れるものではないので、特に最終話のとあるシーンは、ご本人と相談して制作していきました。
飯田:原作では百合はアラフォーなんですけど、トリンドルさんが演じる上で設定を下げたことで、確かに百合は社長で、成功もしていて、強い女性ではある。けれども、強く見えていても弱い部分があるんじゃないか。ヒモを飼っている理由もそこだったりしたので、百合をトリンドルさんに演じてもらって、より魅力的なキャラクターになったと思います。
佐久間:トリンドルさんご本人の希望もあって、実際に百合のモデルとなったランジェリーデザイナーさんにも会っていただいて。髪形や服装から仕草に至るまで、いろいろとお話して研究されていました。百合のランジェリーにまつわるセリフは、そのデザイナーさんがお話しされていたことが元になっているのですが、トリンドルさんが演じることでより魅力的なキャラクターになったのではないかと思います。あと、森生とのシーンも個人的に結構好きで。お互いに一番何でもない相手だからこそ、肩肘張らずに気楽に、コーヒー片手に語り合えるシーンにしたいなという思いで作っています。
井桁弘恵と一ノ瀬颯がジャズクラブで「ネコふんじゃった」を猛特訓
――もう撮影は全て終了していると伺っていますが、印象に残っているシーンや好きなシーンはありますか?5月16日(火)放送の最終回の見どころも含めてお願いします。
佐久間:印象に残っているのは第2話のジャズクラブでスミレと宗一がピアノの連弾をするシーン。原作にはないシーンで、これがうまくいくかどうかで決まってしまう、キーになるシーンだと思っていました。撮影前は上手くいくだろうかと結構緊張していたんですが、現場でモニターを見て、これならうまくいくんじゃないかなと安心したのを覚えています。ジャズアレンジのネコふんじゃった、すごく2人で練習していたんですよ。台本にはサラッと書いてあるだけだったけど、実際やるとなったら大変だったと思います。
あと、第1話の雨宿りをする、2人の出会いのシーン。このシーンも原作とはかなり違うので、このドラマの空気感を作った印象的なシーンだったと思います。あと個人的に一番好きなシーンは、最終話のスミレと森生のキッチンカーのシーン。まるで狐の嫁入りのような天気雨のシーンがありまして…2人のお芝居がとても素敵なので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。
飯田:僕も2つあって、1つはスミレが一歩踏み出す瞬間のシーン。ランジェリーを付けた瞬間に、道が開けるっていうシーンで、あそこは漫画のときからこだわっていました。ただ女優さんがランジェリー姿になるって、かなり勇気がいると思うんですが、この作品において重要なシーンでもあるので絶対に外せないなっていうところで。井桁さんがそこを快諾してくださった。後ろ向きだったスミレが一歩を踏み出す、女性が自分の力で歩くという意味が込められていて、そこからいろんな物語が始まっていく。ヒモに出会ったり、その後もいろんな経験をしていくっていう、欠かせないシーンだったので、そこが成立したのは良かったですね。
もう1つは楽曲。ピアニストの角野隼斗さんが手掛けてくれた「かすみ草」という曲は、いいシーンで流れるので。これはもう自己満足でしかないですけど、漫画のときから宗一くんのイメージは角野さんだったので、劇伴を絶対作ってもらいたくて。それが実現して映像になって。すごく素敵な曲だし、意味のある曲なので、最終回で出てくる、一番いいところでメロディーが流れるので、どんなシーンになるのか期待してください。
佐久間:第7話の終わり方からして、「これを残りあと1話でどうまとめるんだ?」って、見ている方は思うかもしれないですが、濃密な最終回になっていると思います。これまでの回では、他人にどう言われようと関係なく惹かれてしまう、恋ってそういうものだよなという“恋愛のどうしようもなさ“を描いてきたつもりで。最終回では4人の恋模様だけじゃなく、それぞれが選ぶ“今“を見届けていただけたらと思います。ドラマの最終回を楽しんでいただいて、その後、原作漫画を読むのもいいかもしれないですね。ネタバレでもないですし、違った楽しみ方ができると思います。
飯田:はい、漫画も並行して進んでいて、7月に電子コミックス7巻が発売されるので、そちらもぜひ、よろしくお願いします!