コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、巨大遺構で親切な“送り狼”と出会った白い幼女の物語をシリーズで描く『送り狼と白い幼女』をピックアップ。
作者である大崎崇人さんが2021年11月7日に『送り狼と白い幼女』をTwitterに投稿したところ、読者の予想を裏切る展開と独創的な世界観で描かれる物語が反響を呼んだ。以降シリーズ作を次々に公開し、4月12日に投稿された最新話『送り狼と白い幼女と河童』も含めて、これまでの6作品に計16万以上の「いいね」が寄せられ、大きな注目を集めている。この記事では大崎崇人さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
巨大遺構で“危険な機械”と出会う幼女の物語 予想外のやさしい世界に反響続々
薬草を探し、巨大な遺構にやってきた白い幼女は、機械の体をもつ“送り狼”と出会う。送り狼は親切にも「ここは危険なキカイが出る」と幼女に知らせると、出口まで付き添い歩いてくれることに。そこに、一つ目の機械が幼女を襲おうと現れる。聞き取れない言葉を話す機械に怯える幼女。送り狼が忠告するも引き下がらない機械に、送り狼は体を変形させ恐ろしい姿を見せる。
「ごめんね、怖がらせちゃったね」と幼女に声をかける送り狼。そして出口まで見送ると、その優しさに感激した幼女は「次は狼さんに会いに来ますね!」と言い、帰っていく。怖い思いをさせたためもう二度と会えないかと思いきや、幼女は次の日にすぐ送り狼を訪ねてやってくるのだった…。
それからというもの、送り狼の住む世界で幼女は様々な人外と出会う。“陰キャ”雷獣をはじめ、覚(さとり)や河童、女郎蜘蛛、そしてだいだらぼっちまで…全員恐ろしいビジュアルをしていながら、見た目とは裏腹に幼女と意外なふれあい方をしていく人外たち。いずれの話も不穏な雰囲気が漂う冒頭からは想像できない“のほほん”とした展開で、思わず頬が緩んでしまう予想外の結末が話題を集めている。
Twitter上では「1ページ目のスケール感とラストの温度差がたまらなく面白い」「ほっこり」「ホラー系かと思ったらめちゃくちゃほのぼのしてて草」「ほんわかやさしい世界」「見た目は凄まじく物々しいのにめっちゃ気さくなの好きです」「機械たち優しすぎて尊い」「不思議な世界観」「映像化してもらいたいこの世界」など多くのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
尊敬する漫画家・弐瓶勉氏の世界観に影響され 作者・大崎崇人さんが語る創作背景とこだわり
――『送り狼と白い幼女シリーズ』はどのようにして生まれた作品ですか?
前の作品の連載が終わり、暇だったのでTwitterで漫画を上げ始めたのがきっかけです。元よりSF作品や『BLAME!』、『シドニアの騎士』(いずれも講談社)で有名な弐瓶勉先生の世界観が好きなのでそこからかなり影響を受けています。
――怖い見た目をしていながらも親切な送り狼と、純粋無垢な白い幼女、それぞれのキャラクターはどのようにして生み出されたのでしょうか?
趣味ですね、小さい女の子の隣に化物を描きたくなってしまいます。
――本作では、白い幼女が送り狼の住む世界を探索しながら様々なキャラクターと出会う物語が描かれ、Twitterで公開されるたびに話題を集めています。シリーズ各話への反響について、大崎崇人さんの率直なご感想をお聞かせください。
一部の人外好きやSF好きの人に受けてもらえたら嬉しいくらいの感覚で描いていたので、結構受け入れてもらえるもんだなーと驚きました。自分はあまり女の子もとい人間を描くのが苦手なので、「幼女が可愛い!」という感想は嬉しいですね。
――綿密に描き込まれた独創性の高いキャラクターたちも魅力的な本作ですが、キャラクターを作画する際にこだわっている点や、作画について思い入れのあるエピソードがありましたらお教えください。
無駄にいっぱい描き込む!っていう意識はありますね、たまに後悔しますけど。思い入れのあるエピソードだとやっぱり送り狼と白い幼女の始めのお話ですね、反響が少なかったら後続の作品はなかったかもしれません。
――大崎崇人さんは本作以外にも、“人外と人間”をテーマにした作品を多く描かれているようにお見受けします。創作の際に特に意識している点がありましたらお教えください。
文字はなるべく少なくて読みやすい漫画を心がけてますね、自分が文字を読むのが苦手なので…。
――webマンガサイト「MAGCOMI」で連載中の『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』ではホークマン名義で原作を担当されていますが、原作のみを担う作品においての創作のこだわりがありましたらお教えください。
シュールな画になるように心がけていますね、ストーリーを考えるときは自分が好きな物とか詳しいものを軸にして考えることが多いです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
毎回コメントは全て読ませてもらっていてモチベーションアップに繋がっているので、もっと褒めてください。
※作者・大崎崇人さんの「崎」は、正しくは「たつさき」