コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“現実ではあり得ない医療現場”を面白おかしく描いた4コマ漫画『医療知識ゼロの人が描いた本格医療マンガ8』をピックアップ。
作者である漫画家の津夏なつなさんが、2023月5月7日に本作をTwitterに投稿したところ、2.2万件の「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では津夏なつなさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
ツッコミ要素満載の手術シーン
手術シーンを中心に描いた本作は、モニターに表示される“患者の心拍数”が上昇して危険な状態である描写から始まる。主人公の医師・黒川は助手から「急いで下さい!!」と急かされ、「分かってる!!」「今やろうと思ってたし」と反論。
まずは心音を静かにさせようとするのだが、黒川は“青い血管”と“赤い血管”どちらを切ればいいのか分からず、困惑していた…。「心臓に繋がっているのはどっちだ!?」「どっちを切ればいい!?」などとハサミを手にして悩む黒川。本作では最後に「TO Be Continued」と書かれており、ここで幕を閉じている。
至って真剣な表情で手術に臨む黒川の姿には、「めちゃくちゃ笑った」という声のほかにツッコミの声も続出。Twitter上では、「いや、爆弾処理かよ!」「どっちを切るのか分からない黒川先生もヤバいけど、そもそもどちらかの血管を切ろうとしてる時点でヤバい(笑)」「急かしてくる助手に対して『今やろうと思ってたし』っていう返しは、“宿題しなさい”って親から言われてる子供と一緒(笑)」などのコメントが寄せられている。
またツッコミどころ満載の本作では、細かい描写にツッコミを入れる読者も多く「手に持ってるの…文房具のハサミじゃん!」「手術で心拍数が低下することはよくあるけど、上昇って…180なら麻酔切れてて目が覚めてる可能性あるでしょ!」「心電図モニターにイヤホンジャックがついてるけど、マジで誰得(笑)」といった声が。現実ではありえない設定が数多く盛り込まれていることで、思わずツッコまずにはいられないようだ。
お笑いセンスの光る描写はもちろん、緊張と緩和のバランスが絶妙である点も、さらに作品の面白さを引き出しているのかもしれない。
ツッコミ不在の4コマ漫画は「リプライで読者の方にツッコんでもらって完成する」
――『医療知識ゼロの人が描いた本格医療マンガ』シリーズを創作しようと思ったきっかけや理由があればお教えください。
医療マンガの緊迫したシーンや熱い展開に憧れがあり、私に医療知識は無いけれど、どうにか熱いシーンだけでも描けないものかと思い立ったのがきっかけです。あえて初めから「これを描いている人は医療知識がゼロですよ」と明言した上でなら、これを読んでくれる方も寛容な気持ちで読んでくれるのではないかと期待しながら描きました(笑)。
――『医療知識ゼロの人が描いた本格医療マンガ8』では、爆弾処理のような感覚で“どちらかの血管を切る”という描写が非常に緊迫感があり、医療ではあり得ないシーンで面白かったです。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
描いている本人が医療知識ゼロなのは当然ですが、読んでくれる読者が知識ゼロでもちゃんとツッコめるよう、分かりやすくてあり得ないシーンにしようとこだわりました。少しでもリアリティがあると不謹慎と感じてしまう方も出てくる気がしたので、思いっきりあり得ない展開にしなければという使命感を持って挑みました(笑)。
――本作で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
細かいところですが、心拍数を表示するモニターが気に入っています。やたらとでかい音量ボタンやイヤホンジャックを描いている時は自分でも笑っちゃいました。
――普段作品のネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
普段生活している中で、「この場面でこんな事が起きたら面白いかな」とか、「こうだったら面白そう」という妄想をよくしています。仕事をしながら漫画を描いているので、いつも同じような生活になりがちですが、なるべくいつもとは違う行動をしてみようと心がけています。
――津夏なつなさんの描く『医療知識ゼロの人が描いた本格医療マンガ』シリーズでは、「主人公は至って真剣だけど、実はめちゃくちゃな医療や症状」というギャップが面白さを生み出しているように感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
真面目な顔でとにかくボケをたくさん盛り込んで、読んでくれる方にいろんなツッコミをもらえるように意識しています。私の描く4コマ漫画は基本的にツッコミが不在なので、「リプライで読者の方にツッコんでもらって完成する」という、SNSならではのスタイルが面白いなと思っています。
――今後の展望や目標をお教えください。
どんな人にでも分け隔てなく、毎日医療の現場で一生懸命働いて下さっている全ての医療従事者の方々が作り上げてきた現代日本の医療環境という前提のもとに、この作品は成り立っています。私たちが当たり前のように受けている医療を決して当たり前と思わず、常に感謝と尊敬の気持ちを忘れずにいたいと思います。
決して茶化したような内容にならないよう、また不快な思いをする人が極力いないように配慮をもって続けていければと思います。より多くの方に受け入れられ、少しでも笑ってもらえたらと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
読んでくれた皆さんのリプライが何よりも嬉しいです。全員に返信はできないのですが、全てに目を通して笑わせてもらっています。これからもどんどんボケていくので、どんどんツッコんで欲しいです。