コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、うさぎの少年を主人公に彼らの友情と運命の物語を描いた『円環のラパン』をピックアップ。
Webコミックサイト・MAGKAN(マッグガーデン 関西事業部)に読み切りとして掲載されている本作。作者である真田しろさんが4月25日にTwitterに投稿したところ、3.2万以上の「いいね」が寄せられ、話題を集めている。この記事では真田しろさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
“外の世界を知る”うさぎ・テディと兄弟たちの命の行方を描くダークファンタジー
白い耳に青白い肌、赤い目を持つうさぎのテディは、その見た目から孤児院でいじめられ除け者にされていた。そんな中、テディ宛に父親から一通の手紙が届く。「会いに来てほしい」という内容に、テディは孤児院を抜け出し父の元へと向かう。
大きな洋館にたどり着いたテディはそこで同じ白い耳と赤い瞳をしたうさぎ・アデルと出会う。父親からも温かく迎え入れられ、洋館での生活をスタートさせるテディ。これまでの経験から、はじめは「友達なんか必要ない」とあしらっていたテディも、無邪気で人懐っこいアデルにコルトやリーゼロッテなど親切な“兄弟”たちに囲まれて過ごす中で、少しずつ心を開くようになっていった。
そんな矢先、テディは歓迎会として招かれた食事の席でアデルたちの異様な光景を目の当たりにする。洋館ではうさぎたちのことをラパンと呼ぶこと、1番の子が“選ばれる”こと、そしてアデルの夢が「お父様に食べてもらうこと」だということを知ったテディは、外の世界にはなかった生き方に気づき…。
食用うさぎを意味する“ラパン”たちの命の物語を描いた本作。謎を残す予想外の結末も話題を集め、Twitter上では「含みを帯びた世界で引き込まれる」「見え隠れする闇と謎がたまらない」「美しくて危険で最高」「こんな素敵な作品に出会えて幸せ」「続編希望」などのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
「妙な雰囲気にゆっくりと呑まれていく感覚を味わっていただけたら」作者・真田しろさんが語る創作背景とこだわり
――『円環のラパン』を創作したきっかけや理由があれば教えてください。
私自身レースやリボン、フリルなどがとても好きなのですが、そんな衣装を身に纏う様々な少年たちのお話を描きたいな〜と思ったのがきっかけです。
――唯一“外の世界を知る”テディというキャラクターはどのようにして生み出されたのでしょうか?
この物語の主人公・テディには、読者と一緒に館の違和感に気がつく立場でいてほしいと思い、外の世界を知っているという設定にしました。アデルと対照的な存在にしたかったこともあり、どちらかというと冷静で落ち着いたキャラクターになりました。少しツンデレなところがチャームポイントです。
――食用うさぎや箱庭をテーマにしたダークファンタジーの世界観が魅力の本作ですが、物語を創り上げるうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがありましたら教えてください。
担当さんと何度も打ち合わせを重ねて、一緒に物語を考えました。その中でも「美しく不穏な雰囲気」は大事にしたいと思っていました。可愛い少年たちが口を揃えて「食べられたい」と話す狂気的な日常の描写にもこだわりました。
この館の妙な雰囲気にゆっくりと呑まれていく感覚を、テディと一緒に味わっていただけたら嬉しいです。
――物語の鍵となるアデルやコルト、リーゼロッテなど個性的に描き分けられたキャラクターたちも印象的でした。本作の作画の際にこだわった点や特に意識した点はありますか?
線を描くのが好きなので、線画の工程はこだわりました。長髪のリーゼロッテなんかは特に気合を入れて描いた記憶があります。太すぎず細すぎない線の感覚を掴むのにちょっとだけ時間がかかりました。
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフがあれば、理由と共に教えてください。
アデルがテディを見つけて後ろからぎゅっと抱きつくシーンはお気に入りです! アデルの無邪気な性格が一目でわかるとっても可愛い場面だと思っています。
その後、徐々に心を開いていくテディの様子も可愛いなと思っているので、そこも是非注目してほしいです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
円環のラパンを知ってくださった方、読んでくださった方、本当にありがとうございます! いろんな方に助けられて描き上げることができた漫画だと思っています。これからも沢山の人に楽しんでいただけるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします!