「ZIP!」(日本テレビ系)お天気コーナーに出演中の気象予報士・。連載の第6回となる今回は、午前0時に起床するという驚きの生活スタイルと、15キロ体重減の思い出を語る。
原稿のない生放送
――現在、月~水曜に「ZIP!」に出演中ですが、やはり朝は早いんですか?
「午前0時起きです」
――午前0時に起きる!
「午前1時30分に家を出ますから」
――やはり朝の番組は早いんですね。朝…ではないですが、起きてからのルーティーンなどはありますか?
「ストレッチと筋トレです」
――寝起きでいきなり。
「働く時間が長いのと、生放送なので走ったり、仕草で台風の大きさを表したりするので。以前『南風が!』と大きなアクションをしたら肩を脱臼したことがあって。それ以来、1時間かけて念入りに準備運動をしています」
――「ZIP!」の放送開始が5:50分。放送前にはどんな準備があるのでしょう?
「日テレ内に気象センターという場所があるので、そこで天気予報作業をします。その日伝える天気をストーリーとして頭に入れる一番大事な仕事ですね。そのほか、打ち合わせや、天気予報で使う字幕スーパーやCGを発注したりという作業もあります」
――えっ!そういうことも小林さんが?
「そうです。気象予報士は天気コーナーへの出演、脚本(=話す内容や図を考える)、ディレクション(=共演者との役割分担)、監督(=天気コーナー全体を俯瞰する)、全部をこなす、いわば四刀流なんですよ」
――2時に局入りして本番まで、ずっと予報作業や打ち合わせで準備をしているんですね。
「『3時間くらいの仕事でお金もらえていいね』と言われることもありますが、実はテレビに映っている以外の時間の方が忙しいんです(笑)」
――みなさん、小林さんは働いていますよ!と。天気予報で話す原稿も、この時間内に書いているんですか?
「僕用の原稿ですか? 書かないですよ」
――えっ?原稿、ないんですか?
「オンエア前に天気予報作業をすることで、一週間の天気の流れ、傾向が頭に入っているので必要ないんです。それに生放送なので前のコーナーのトークが押すことがあったりして、尺が直前で変わることも多くて。CM中に『天気、何秒ね』という指示があるのが当たり前。原稿があるとどこを削除しようかなと考える時間がもったいないんです。さらに、天気は常に動いていますから。天気解説中に最新の雨雲レーダーを見て、現在の状況を知るなんてこともザラです」
――そうか、相手が天気だと、放送中に言うべき内容が変わることもあり得るんですね。では、番組が終わるとようやく一息…?
「番組が終わったら天気班(天気担当のディレクターさん、スタッフさん、マーシュ彩さん、小林)で反省会をします。その後は翌日の構成や喋ることなどの準備が始まって…局を出るのが11時くらいですかね」
――ようやく一日が終わりますね。午前中ですが。
「その後は次の日の構成を考えたり、打ち合わせをしたり、ほかの番組のロケやコラムの執筆、所属しているウェザーマップの新人の講師的なことをしたりと、なんだかんだで、家に帰るのは夕方以降という日も多いです」
――番組が終わったら終了ではないんですね…。
「日中もずっと翌日の天気を気にかけていますが、家に帰ったら天気の予習、復習をして、そうするとだいたい夜9時。寝る時間です」
――起きるまであと3時間しかないですね…。ハードな一日ですが、出演がない木~日はどうしていますか?
「出演はしませんが、木~金曜もZIP!の裏方として働いています」
――裏にいるんですね!
「くぼてんきさんのサポート業務(※)ですね。だから一日のリズムは月~金は一緒です。週末は講演会があったりして、日曜にはもう月曜日の打ち合わせや準備が始まるので、一週間、ずっと天気漬けです」
※サポート=番組に出演はしないけれど、天気に関するニュースやコメントの原稿を書いたり、天気の情報をスタッフや出演者に伝える、画面を作るなど、番組内の天気関連を裏方として支える仕事を、気象予報士のあいだではサポートと言う。
気象予報士。1988年生まれ。2019年より日本テレビ系「ZIP!」にお天気キャスターとして出演中。天気予報のほか、バラエティ番組にも多数出演している。布団なし、カーテンなし、包丁なし、箸なし…という極端にモノのない生活や、ハンバーガーが主食という偏った食生活がバラエティ番組で取り上げられ、話題となる。中学生時代のあだ名は「デマ」(友達に教えた天気予報が外れたため)。いばらき大使、常陸大宮大使。水戸ホーリーホックオフィシャルウェザーサポーター。
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