BTS(防弾少年団)のSUGAが、4月26日のアメリカ・ニューヨーク州ベルモントでのライブを皮切りに、初のソロワールドツアー「SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’」で世界6カ国25公演を行う。6月2日から4日には神奈川・横浜市のぴあアリーナMMにて3Daysライブを行い、約2万7000人を動員。初日は台風の影響もあり、みなとみらいは暴風雨に見舞われたが、ARMY(BTSのファンの愛称)たちは雨風に負けずにライブ会場に集まり、ほぼ満員状態に。3日は映画館での「ライブビューイング」、4日はオンラインライブも実施され、4年ぶりとなった日本公演は3日間とも大盛況の中、幕を閉じた。今回は最終日である4日の様子をリポートする。
伝統楽器とヒップホップが融合したSUGAらしい楽曲でスタート
「SUGA | Agust D TOUR ‘D-DAY’」は、4月21日にSUGAがソロ名義のAgust Dで発売したアルバム『D-DAY』を引っ提げて行われたもので、過去にミックステープの形で発表した1st『Agust D』(2016年)、2nd『D-2』(2020年)の楽曲やBTSの曲も含めて、全23曲を披露。SUGAとAgust D、そして本名のミン・ユンギ、“3つの顔”をミックスしながら、彼自身を表現する構成となっていた。
漆黒の闇の中を大雨が降る映像をバックに、仰向けの状態でダンサーたちに担がれてステージに現れたSUGAは、そのままステージ中央に寝かせられた。それは彼のファンならば誰もが知る過去の事故を想起させる演出だ。だが、ドキッとしたのもつかの間、韓国伝統楽器による「Haegeum」のイントロが会場中に鳴り響き、魂を解放するように「ためらわずに乗ってみな」と歌い上げる。
続けて、「Haegeum」と共通した世界観を持つ「Daechwita」へ。鋭いまなざしを会場全体に向け、ヒップホップの一つであるトラップビートと伝統楽器が混合したAgust Dらしい曲を “爆イケ”状態で歌い上げると、今度はアイドルラッパーと揶揄する世間への怒りを凝縮した「Agust D」の高速ラップでファンを熱狂させる。
「A to the G to the U to the STD」部分はファンと共にコールし、日本語での「全力で行きます」という宣言通り、まだ3曲目だというのにすでに汗だく。そのまま「give it to me」へ続け、いきなりアクセル全開状態だったが、ここでアコースティックギターが登場する。
椅子に腰掛けてギターをつまびきながら、しっとりと聴かせた「Seesaw」を皮切りに、愛を歌うパートへと突入していく。「SDL」「People」、IUとコラボした「People Pt.2」。すれ違った愛、見失った愛、変化する愛など、つづられるのは切なさ漂う愛の形だが、共に歌ってくれるファンを見るSUGAのまなざしは優しく、時折うれしそうな笑顔も見せる。
マイクを両手で包んで全身全霊で歌い上げる姿からは大人びた色気が漂ったかと思うと、また雰囲気が変わり、心地よいヒップホップ曲の「Moonlight」。そしてエネルギッシュな「Burn It」へ移行し、ステージも火柱に包まれる。
全身真っ白の衣装でガチのラップ曲と問題曲の「AMYGDALA」を
歌手のMAXとコラボした力強い「Burn It」に圧倒されていると、会場が闇に包まれ、SUGAとAgust D、そしてミン・ユンギが交互に登場するVTRが流れ出す。「YunKi:EXIST IN MEMORY」「SUGA:LOST IN MEMORY」「Agust D:THE CHASER」と題された映像では、夜道を歩いているミン・ユンギがAgust Dの仲間に誘拐され、その次にはSUGAがいる部屋をAgust Dが訪れ、バスルームへ向かうとそこで気を失ってしまう。過去の本人映像を交えながらつづられるこれらのエピソードには、過去の出来事や作品を示唆するものが詰まっており、後々、考察しても楽しいだろう。
後半戦は、全身黒からグローブまで全て白の衣装にチェンジしたSUGAが現れ、「Interlude : Shadow」「Cypher PT.3:Killer」「Cypher 4」「UGH!」、円盤未収録の「DDAENG」、J-HOPEとのコラボ曲「HUH?!」と一気に6曲もガチガチのラップ曲で攻めまくる。
後半も疲れ知らずだ。「Cypher PT.3:Killer」などはBTSのラップライン(RM、SUGA、J-HOPE)の楽曲のため、「メンバーがいなくて、1人で歌うとすごく寂しいですね。でも、皆さんが一緒に歌ってくれて、心強かったです」とファンを喜ばせたかと思うと、突然「アミ(ARMY)しか勝たん!」と日本のファンがよく言うフレーズを覚えて披露したが、“しか勝たん”を繰り返し言ってしまったため、うまく伝わらず“あれ?”と苦笑いする一幕も。
和やかな時間が過ぎると、天井へと吊り上げられたセットの下から現れたピアノへと向かい、今度はBTS曲をアレンジした「Life Goes On」を弾き語り。ムーディーなピアノアレンジから始まり、しっとりと歌い上げる姿は、彼の音楽世界の幅広さを感じさせる。
続けて、ディズニープラスで配信されているドキュメンタリー映画「SUGA:Road to D-DAY」での一コマである、故・坂本龍一さんとの対談シーンを挟んで、坂本さんとコラボした後輩への応援歌「Snooze」、現代の”正義”を問う「Polar Night」、そしてライブ冒頭の演出につながる事故も含むトラウマについて歌う「AMYGDALA」で本編が終了。SUGAであり、Agust D であり、ミン・ユンギである彼の世界を存分に見せてくれたライブだった。しかし、彼の世界はこれだけでは終わらない。
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/suga-road-to-d-day/
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