コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“自分の感情をうまく表に出せないツンデレ女子”を描いた漫画『感情に素直な男の子と 素直になれない女の子』をピックアップ。
作者である漫画家の嶋水えけさんが、2023月5月28日に本作をTwitterに投稿したところ、1.2万件の「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では嶋水えけさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
皮をかぶることで自分の感情を素直に表現
物語の主人公である女子高生の春永ヒヨリは、極度の人見知りで自分の感情をうまく表に出せずにいた。クラスメイトの男子・ムクに「パスケース落としてんぞ」と教えてもらった時も、心の中ではお礼を言いたかったのに、現実では「…は」と睨みつけてしまう始末…。
そのためムクからも、「春永さんってなんか俺らのことゴミクズとしか思って無さそー」と勘違いされてしまうのだった――。
なかなか素直になれないヒヨリだが、実はメイドカフェでアルバイトをしていた。“メイドのひよりん”という皮(キャラ)をかぶっている間は、感情も好意も素直に表現できるため、ヒヨリは「ここにムクくんが来たらありがとうもごめんも尊敬するも全部言えるかな」と考える。いつも自分の感情に素直なムクに対して憧れを抱いており、本当は仲良くなりたかったのだ。
しかし「春永ヒヨリはムクくんに嫌われてるだろうし まぁそもそもメイドのひよりんが伝えても意味ないから」「絶対来てほしくないけど」と思い直すヒヨリ。すると、そこへまさかのムクが来店してくる。
友人たちと一緒に来たムクは、初めてのメイドカフェにソワソワした様子だったが、ヒヨリを見つけると「メイドさん!」「すげーっ 本物っっ」などと大興奮。どうやらそのメイドの正体がヒヨリであることには気づいていないようだ。
その後、皮をかぶったヒヨリは普段見せられないような笑顔を振りまき、ムクと充実した時間を過ごす。一緒に写真撮影までおこない、2ショット写真をまじまじと見つめるムク。そして「可愛い!」と叫ぶムクの言葉を聞いて、ヒヨリは思わずその場でトキメいてしまう。
もちろんムクの発言はヒヨリにではなく、“メイドのひよりん”に向けて言ったセリフ。しかしそれでも嬉しいヒヨリは、ムクが店を出ようとした際「また来てくださいね!」と切実な想いを込めて呼びかけるのだった――。
不器用ながらも、純粋で可愛らしい女の子の一面が垣間見られる本作。ネット上では「ツンデレっぷりが最高に面白くて可愛い!」「胸キュン要素満載で推し漫画になった」などの称賛コメントが上がるとともに、「私も感情をうまく出せない方だから、ヒヨリのことすごく応援したくなった」「憧れの男の子の前ではなかなか素直になれない気持ちが痛いほどわかる!」といった共感の声も寄せられている。
コンセプトは「令和のツンデレ」
――『感情に素直な男の子と 素直になれない女の子』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
連載と連載の間の息抜きに、「令和のツンデレ」というコンセプトで2本短編ネームを描き、そのうちの1本でした。(もう1本は現在作画中のため、まだ公開しておりません)
ツンデレが描きたくなったのは、以前バレンタインにTwitterへ投稿した漫画でツンデレっぽい子を描いたことがあり、それが楽しかったからです。
――本作では、主人公の女の子のギャップがとても可愛らしくて印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
ヒヨリという女の子が自身のコンプレックスに対し「どういうスタンスで向き合っている子なのか」という点と、「ムクという男の子への憧れの気持ち」を大切にしながら描きました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
12ページ目のヒヨリがムクに「また来てくださいね」と呼びかけるシーンです。ヒヨリの切実な想いがこもっているシーンなので。
――普段作品のネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
自分が経験したことや感じた感情、読んだもの、見たもの、聞いたもの、色んなものから着想を得ています。小説を読んでいることが多いので、その影響も大きいかもしれません。
――嶋水えけさんの作品では、登場人物の感情などにあわせて背景色が変わっている描写もあり、背景にもこだわりがあるように感じられました。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
表情や仕草、線の動きなど、描き込む全ての要素から、キャラクターの感情が読者に伝わる絵が描けるように日々精進しています。
――今後の展望や目標をお教えください。
描きたい漫画が日々増えていくので、それらを死ぬまでにできるだけ多く、読者の皆さんへ伝わる形にして世に出していきたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
楽しみにしていただいてありがとうございます。これからもあなたの生活や心に寄り添えるととっても嬉しいです。