声優、YouTuber、モデル、コスプレイヤー、そして2022年7月からは自身名義での音楽活動も。「マルチタレント」を掲げ、さまざまなジャンルで活躍する夜道雪(よみちゆき)のコラム連載、「夜道 雪のBlowin' the Night wind！(夜風に吹かれて！)」では、地元・北海道から上京し、現在の「表現者・夜道雪」が生まれるまでの道のりを、「夜道節」で綴っていきます。
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こんにちは。夜道雪です。
みなさんは「頑張れ」という言葉にどんな感情を抱きますか？
私は仕事柄、様々な人と会い、多種多様な考え方を拝聴する機会が多いのですが中でも「頑張れ」という言葉が苦手だと仰る方が度々いらっしゃいます。なぜこの言葉が嫌いなのかを尋ねると、皆さん一様に「既に頑張っているのでプレッシャーを感じてしまう」とのことでした。
私は「頑張れ」という言葉を、言う事も言われる事も度々ありますが、ネガティブな発想は一度もなった事がなかったので、驚きよりも新鮮な気持ちになりました。
そして、どうもこの言葉に重荷を感じるという人は珍しくないようなのです。
そこで私は、「頑張れ」という言葉にまつわる心理についてあれこれと考えてみることにしました。
まず最初に、私を含め誰かに「頑張れ」と投げかける側の人について。
おそらくですが、ほとんどの人は「もっと頑張れ」「全力を出せ」「本気でやれよ」「お米食べろ」のような意味合いでは発していないと思います。（ちなみに私はお米が大好きです）
では、どんな気持ちで「頑張れ」という言葉を使っているのでしょうか。例えば私なら「あなたを応援します」「私は味方ですよ」といった感覚に近いかもしれません。そのため、相手に応援の気持ちが強くなれば強くなるほど、「頑張れ」と伝えてしまうかもしれないと思いました。
スポーツ観戦は良い例です。選手の皆さんがすでに全力で頑張っているのは明白だし、そんな彼らにプレッシャーをかけたいわけでも、本気のもう一段階上～少年漫画にありがちな超覚醒～を出して欲しいわけでもないけれど、「頑張れ！頑張れ！」と熱をこめて叫んでしまいます。たとえテレビ観戦だとしても。
私は応援してるよ！あなたの味方だからね！と。
ということで、言い方はあまりよろしくはないのですが、私を含めた「頑張れ」を頻繁に使う側の人々は「頑張れ」の文字の意味をそこまで深く考えていない気がします。つまるところ、“純粋な応援の気持ちでしかない”という意味です。
ところで、私が筋トレをしている時に、傍で「頑張れ！」って言ってもらえたら、嬉しさのあまりテンションがインフレして「激励！応えずにはいられないッ！」と、トレーニングを激しくしてしまいそうな気がします。
次に、なぜ「頑張れ」という言葉が重荷になってしまうのか、そう感じてしまう人がいるのかを考えてみました。
前述の「既に頑張っているからプレッシャーに感じてしまう」理由は、『結果が出ていないことへの焦り』が大きいのではないでしょうか。自分自身は精一杯頑張っている。手は抜いていない。家族や友達から応援もされている。
しかし、思うような結果が出ていない。
結果が出ていないと、「うまくやらなきゃ」「頑張らなきゃ」という焦燥の念に駆られる。そんな感情が煮詰まってくるとどうなるでしょうか。「結果を出さなきゃ見限られてしまうのでは？」「周りも本当はあきれているのでは？」「なぜ自分は頑張っているのに結果を出せない？」…自問自答は金太郎飴のように続き、やがて疲弊し、やさぐれてしまう。そうなると、周囲からの気遣いの言葉を素直に受け取れなくなり、純粋な応援の「がんばれ」すら受け付けなくなってしまうのではないでしょうか。
あるいは、過去のトラウマの影響もあるかもしれません。
例えば、同じ「頑張れ」でも
「〇〇はもっと上手くやっているのだから、あなたももっと頑張りなさい」
「こんなのじゃダメだ、頑張れよ」
「せいぜい頑張れ」
「とにかく頑張れ」
このような言葉をかけられ続けてきた人にとっては、「頑張れ」は応援どころか地獄のワードにすらなりかねない。自己肯定感を下げられたところに、具体性のまるでない頑張れだなんてつらすぎて、そんな言葉を聞きたいわけがないですよね。
ということで、見るからに疲れ果てている人や落ち込みやすく繊細な人には、なるべく避けた方が賢明なのではないかと思います。
ただ、ぱっと見でその人が『頑張れと言われるとプレッシャーを感じてしまう人』か、どうかの判断ってなかなか難しいですよね。顔が高田純次さんにそっくりでも性格が適当とは限らないですし。
そこで考えてみたんですが、「頑張れ」の代わりに「ファイト」と言ってみるのはどうでしょうか。
「応援しているよ！」「あなたの味方だよ！」「心配しているから頑張りすぎないでね！」だと少し長くなったり、小恥ずかしくて気後れする可能性もあります。「頑張れ」だと命令口調のように聞こえてしまうかもしれません。けれど、かの名曲、「闘う君の唄」の中にもあるこの「ファイト！」、短くてフランクなこの4文字なら、もしかしたらプレッシャーを感じづらいかなと。
何はともあれ、この長文を最後まで読んでくださった優しく温かい皆様へ、「ファイト！」
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プロフィール
シルヴァーレイス所属。
11月21日生まれ。北海道出身。声優、歌手、バイクYouTuberとして活躍中。
2023年4月より放送予定のTVアニメ『六道の悪女たち』に、メインキャスト(姫野莇美役)として出演が決定。主な出演作に『スーパーカブ』(小熊役)、『女神寮の寮母くん。』(八月朔日せれね役)、ゲーム『SAMURAI MAIDEN－サムライメイデンー』(玉織紬役)など。2022年7月20日(水)は、にユニバーサルミュージックからミニアルバム『初雪 First Love』でソロアーティストデビュー。
