冷たい海に飛び込み…復讐が始まる
陽子が向かったのは、海だった。凪が生まれてくる前、昂太と行った海。凪の名前の由来でもある穏やかで凪いだ海は、変わらない様子を見せていた。さまざまなことを想いながら、膝を抱えてうずくまる陽子。昂太から何度もかかってくる電話はすべて無視しつつ、辺りが暗くなるまでじっと海を見続ける。
すっかり日が暮れたとき、ついに昂太からの電話に出る陽子。心配した様子の昂太が「やっと出た。いま、どこ?」と声をかけてくるが、学会に行っているという話を通すためホテルにいると嘘をつく。震える声で「なにかある?私に伝えたいこと」と絞り出す陽子に、昂太は「なにもない」と答えた。
電話を切った陽子は、あふれる涙をこらえきれず立ち上がる。あまりの裏切りに嗚咽を漏らしながら暗い海に踏み出すと、いまは荒れた波が陽子を包む…。どんどんと沖へ足を進める陽子の姿は、ついに頭の先まで海に沈んだ。
翌日朝、憔悴しきった様子で裸足のまま砂浜へ姿を見せた陽子。通行人にも驚かれる幽鬼のような姿ではあるものの、逆に顔つきからは弱さが消えていた。
家に戻った陽子は、「私の息子、私の財産、私の人生…。どれも絶対に譲らない。あなただけを、私の人生から追い出す」と心の中でつぶやきながら身支度を整える。起きてきた昂太を迎え、「出かけるわよ」と有無を言わせぬ迫力で連れ出す。
タクシーで向かった先は、理央の実家・佐倉家だった。震えあがる昂太に「奥様にお食事に誘われてるの」と笑顔を見せつつ、制止も聞かずインターホンを押す陽子。理央の母・美南(七瀬なつみ)と徹郎(矢島健一)は突然の訪問に最初こそ驚いていたものの、「今日は娘もいるし、みんなでにぎやかに…ね!」と歓迎ムードだ。
次期映画のスポンサーでもあり、不倫相手の父でもある徹郎との対面。みるみる顔つきが強張る昂太を飲み込むと、高級そうな佐倉家の扉が重々しく閉じた。予告動画でも「あばずれ」「クソババア!」と強烈なワードが飛び交うなど、次回第11話ではついに復讐劇の幕が開けるようだ。これまで我慢に我慢を重ねてきた陽子の復讐は、どこに向かうのだろうか。