コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。漫画家の水谷アスさんが5月8日に投稿した「夫に心を救ってもらったときの話」は、とある“呪い”を抱えたまま生きた女性を描いた作品。納得感のあるストーリーには6000件を超えるいいねが集まり、「暖かい言葉の選び方が泣ける」「思い返せば、心当たりがあるかもしれない」とSNSで話題を呼んだ。
家庭環境によって“呪い”を受けてしまった女性の話
主人公である「私」が10歳の頃、彼女はまだ泣き虫だった。しかし周囲の大人はそんな彼女に対して、「泣けば許されると思うな」「これだから女は」と涙を見せる「私」を強く叱るばかり。感情があふれるままに泣いていた「私」は、いつしか「私は許されたくて泣いてるんじゃない」「女を武器にしたくて泣いてるんじゃない」と泣くのを我慢するようになっていた。
しかしさまざまな人生の節目や感動的な映画などに触れるにつれて、自分が泣き方を忘れていることに気づく。27歳のとき、「私」は「男」に出会う。「男」のアタックの末付き合うことになった2人だったが、ある日「私」の家で家族と一緒にドラマを見ている際に「男」が泣き出した。ドラマのシーンに感動したのだ。
家族は「男のくせに人前でそんなに泣いて」と茶化したが、「男」は当然のように「男でも女でも泣きたい時に泣くのは当たり前じゃないですか」と言い放つ。父が何も言えずに笑っている横で、「私」の心には電撃が走っていた。いずれ結婚した2人。夫となった「男」と過ごす日々の中で、「私」には大きな変化が訪れる…。
自分に必要のない価値観へNOと言えるように
――本作を創作したきっかけや理由があればお教えください。
コミチというマンガサイトで募集されていた「私の伴侶」というテーマの漫画賞に応募するために描きました。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
心の瓶の蓋が開くところが、演出としては一番こだわったところです。
「ああ、泣いていいんだ」と思った瞬間は閉じ込めていたものが開くような、そんな感覚があったので。
また「伴侶」は“一緒に連れ立つ者”という意味だそうで、夫だけでなく子どもたちも人生の伴侶として描いています。
――主人公の女性は、夫となる男性と出会うまで泣き方を取り戻そうとは思っていなかったのでしょうか。
そういうものだと妙に割り切っていたので、泣き方は取り戻すものとも思っていませんでした。
――「女の涙は武器」というフレーズは巷でもよく聞く言葉ですが、変わっていくべき価値観だと思いますか。
武器にしたくてしているわけではない女性の方が多いと思うので、変わってほしいです。
――主人公と同じく「大きな感情表現が苦手」という人に向けて、なにかアドバイスはありますか。
感情表現が出来ないことは別にいけないことでも、恥ずかしいことでもないと思っています。
ただ自分のなかに「〇〇してはいけない」とか「〇〇すべき」という価値観があるせいで出来ないのだとしたら、それは本当に自分のために守る必要があるものなのか?
それを改めて自分に問いかけてみてほしいし、必要がないなら破る勇気を持って欲しいですね。
――今後の展望や目標をお教えください。
自分が本当に伝えたいことを作品にしていきたいと思っています。
作品を受け取ったことで何かを感じ取ってくれるようなファンを少しずつでも増やしながら活動していきたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも作品を読んで下さっている読者の方々にはいつも感謝しております。
SNSやマンガサイトに上げる作品たちに、反応があることが創作の励みになります。
リアクションやコメントなど、返せないことのほうが多くて申し訳ないですが、頂ける事がとても嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。