韓国発のドラマシリーズ「私たちの人生レース」(全12話、ディズニープラス「スター」で配信中)は、厳しい学歴社会の中で就職難に苦しむ韓国の実状を背景に描きつつ、真摯(しんし)に仕事に取り組む若者たちを描くお仕事ドラマ。韓国ドラマといえば、ラブコメディーの中にドロドロの愛憎劇が盛り込まれていたり、格差社会の鬱憤を吹き飛ばすような復讐(ふくしゅう)モノが人気だったりするのだが、その中において「私たちの人生レース」はまるで一服の清涼剤のようで、回を追うごとに爽快感が増していく不思議な作品だ。物語の舞台は、大手広告代理店「セヨン」。韓国の中でも屈指の大企業であり、誰もが憧れる就職先。そこに会社のイメージアップのために企画された“スペックアウト採用枠”で、高卒だがアイデアとやる気に満ちた主人公パク・ユンジョが入社したことで旧態依然とした大企業に変化が生じていく。(以下、ネタバレを含みます)
スペックゼロの主人公が大企業で奮闘するお仕事ドラマ
小さな広告代行会社「PRジョア」から大手広告代理店「セヨン」に転職したパク・ユンジョ(イ・ヨニ)。実はこのセヨンでは、小中学校からの親友であるリュ・ジェミン(ホン・ジョンヒョン)も同じ広報室に勤めているが、決まりが悪いため、周囲には内緒にしていた。
そんなある日、ユンジョの不正採用疑惑が噴出する。「候補者の顔や名前を明かさずに社員が選んだというのはうそだ」というSNSへの書き込みを発端に、勝手な憶測が瞬く間に広がっていく。会社のイメージを保つことも業務であるジェミンら広報室の面々は事態の収拾に追われることになる。
状況を悪化させているのは、同じセヨンの社員たち。ユンジョの隣の席に座っているような高学歴の社員たちが何の根拠もなく、面白がるように罵詈雑言を書き連ね、それを見た上層部らは面倒を省くために「ユンジョをクビにしろ」とまで言い放つ。
主人公の憧れの女性が旧態依然とした大企業を一刀両断
そこにメスを入れたのが、ユンジョの憧れの人であるESG(環境、社会、ガバナンス、3つの観点から企業を見直す指標)の専門家であるク・イジョン(ムン・ソリ)だ。
彼女は、セヨンの創立者の娘である代表イム・ジヒョン(キム・へファ)が副社長との権力争いに勝つためにアメリカからわざわざ連れてきた大物で、セヨンに依存していないため、正当な立場から時代遅れの非合理的な企業文化に立ち向かっていく。
そうして、上層部の隠蔽体質のせいで隠されていた面接の際の採点表を公表したことで、ユンジョへの批判は止まり、無事に仕事を与えてもらえるようになるのだった。
しかし、騒動はこれだけでは収まらない。第5話で広報室のチーム長がジェミンに言った「組織が嫌なら辞めるしかない。セヨンの広報は今までも今後も変わらない。セヨンという組織もな」というセリフからも伝わってくる通り、セヨンという会社には多くの膿が詰まっており、それがユンジョとイジョン、ジェミンらの存在によって、次々と明かされていくことになる。
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