目指すのはうまいだけではない、いい塩梅の役者
――竹中さんは昨年4月から劇団アレン座に所属されていますが、この1年ほどで何か変化したと感じることはありますか?
竹中:去年7月に出演した『アジール街に集う子たち』は、劇団に所属してからは初めての劇団公演でした。正式な劇団員になり、茉美さんからも今まで以上にいろいろと言葉をかけてもらったのですが、「凌平は自分の限界を勝手に決めている」ということを言われて。正直そのときは「そんなことない」という反発があったんですけど、それと同じ時期に外部のワークショップに行ったときにもまったく同じことを言われたんです。
――限界を決めているということに、思い当たる節は?
竹中:大いにありました。見抜かれていたなと。これまでにさまざまな作品に携わってきて、時には褒められることもあったので、きっと変に自信がついていたのかなと思うんです。今はもうまったく自信がないですが、それを言ってもらえてよかったなと本当に思っています。昔に比べると今は仕事に対してすごく謙虚になったと思いますし、より素直になったなと。リクエストに対しても前より柔軟に対応できるようになったし、仕事への向き合い方そのものが変わりました。
――俳優として、今後の目標はありますか?
竹中:答えが難しいですが、技術面のスキルアップはずっとしていきたいです。最初に僕にお芝居を教えてくれた人に「売れる役者より、うまい役者を目指せ」と言われてから、ずっとそれを信じてやってきました。でも途中から、「売れなきゃ意味ないじゃん」とも思うようになって。お客さんを呼べる影響力を持っていないとできないことって、たくさんあると思うんです。だから、ちゃんと売れて、いい芝居もできる、いい塩梅の役者になっていきたい。そうすれば、映像の仕事をやりたいなと思ったときや、こういう作品に出たいなと思ったときに選択できる役者になれるのかなと考えています。
撮影=後藤薫/取材・文=榎本麻紀恵/ヘアメイク=田中宏昌/スタイリスト=齋藤良介
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