長澤まさみの魅力をもっとも引き出す監督のひとり
「20代の頃に『モテキ』という作品で一番かわいい長澤まさみを撮れたと自負しています。今回は30代の一番かっこいい長澤まさみを撮れました」
第60回(2022年度)ギャラクシー賞・個人賞を受賞した長澤まさみ。その贈賞式にサプライズゲストとして駆けつけた、「エルピス―希望、あるいは災い―」(2022年フジテレビ系)の演出を担当した大根仁は、そう語る。まさに、長澤にとって、ターニングポイントとなるような重要な2作品を大根は撮影している。長澤の魅力をもっとも引き出す監督のひとりだと言って過言ではないだろう。
小学6年生の頃、「東宝シンデレラ」オーディション(2000年)で、12歳という当時史上最年少で3万5153人の中からグランプリを受賞し、華々しくデビューした長澤。同年公開の「クロスファイア」ですぐさま映画デビューをすると、やはり同じ年、「弁護士迫まり子の遺言作成ファイル3『秘密』」(TBS系)にも出演し、ドラマデビューも果たした。まさに順風満帆。待望の大型新人だった。
丸坊主になる熱演で大きな話題を呼んだ作品
2002年にはNHK連続テレビ小説「さくら」(NHK総合ほか)で朝ドラデビュー。そして、初期代表作となる映画「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004年)にヒロインとして出演。自ら申し出て丸坊主になる熱演で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を史上最年少で受賞した。
ちなみに丸坊主になったひとつの理由として2001〜2002年に放送されていた「3年B組金八先生」(1979年ほかTBS系)の存在があったという意外な事実を後に明かしている。金八(武田鉄矢)の息子(佐野泰臣)が白血病になった際、佐野が実際に丸坊主にしていた。
それを見た長澤は「男の人ができて女の人ができないっていうのは、ちょっとヤだな」と思い「金八先生の息子に負けたくないです」と申し出たという(「サワコの朝」2014年5月10日TBS系)。負けん気の強さがうかがえる。その後も「タッチ」(2005年)、「ラフ ROUGH」、「涙そうそう」(共に2006年)などに相次いで出演。いわば正統派の清純派女優としての道をひた走った。