声優としてTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などに出演、さらに映像作品や舞台俳優としても幅広く活躍する佐藤日向さん。お芝居や歌の表現とストイックに向き合う彼女を支えているのは、たくさんの本から受け取ってきた言葉の力。「佐藤日向の#砂糖図書館」が、新たな本との出会いをお届けします。
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気づけば人生初めての地方公演から1ヶ月が経っていた。
これまで地方での仕事といえばマネージャーさん、スタッフさんと行動を共にすることが多く、あまり一人の時間というのはなかったように思う。それが苦痛かと言われると私は一人で何か行動を起こすのが苦手だから、その土地の知らない場所に行けるのは誰かの力を借りないと行くことができない。そんな私が一人で旅をしてみたいと思わせてくれたのが益田ミリさんの「47都道府県女ひとりで行ってみよう」という旅エッセイだ。
益田さんが4年かけて1人で47都道府県を旅し、その際に訪れた場所や食べたもの、その時に感じたものが素直な言葉で書き綴られている。益田さんがこの旅の最初の方では一人旅だと楽しいという気持ちを共有できる人がいなくて寂しい、1人での旅はつまらないと言った内容が書かれているところから最後の方では1人での旅を楽しんでいる姿がとても印象的だった。一人旅というのには前から憧れがありYouTubeで所謂Vlogというのを見ては「いつか1人で旅をしてみたい」という気持ちが高まりつつも佐藤日向という人間は惰性を煮詰めたような性格なので、自分のために計画を立てて自分のために行動するというのが本当に苦手だ。
今回舞台公演で初めて地方公演に行き、他キャストさんと行動するわけでなく各々が自分の時間を楽しむというのも初めてで大阪でどうしたらいいのか分からずとりあえず「大阪 並ぶ たこ焼き屋」と調べて並んでみたりした。
これが意外と楽しくて自分のために何か動くことが苦手だと思っていたが自分で選んで自分で食べると決めた場所はなんだかより格別な味がしたような気がした。
そして名古屋公演でカフェと併設された本屋さんをなんとなく歩いている時に本作と出会い、初めて地方で本を買ってみた。
本作を読みながら訪れたことのない岩盤浴に名古屋で1人で行ってみたり、食べたことのないサーモン定食を食べる瞬間は常に誰かに選んでもらった場所を何も考えずに訪れていた私にとってはちょっとした冒険のような感覚だった。
誰かと美味しいを共有するのも良いが、自分1人で自分が決めた場所を訪れるのはその時に感じた自分の感覚は自分しか覚えていないから忘れないようにしようと一瞬一瞬を覚えようと無意識に努力していることに気がついた。
面倒くさがりで誰かに誘われないと基本家から出ない私だが、ものすごく長い時間がかかってもいいから47都道府県を訪れてみたいと本作を読んで強く思った。その土地独特の文化や歴史というのは土地に行って自分の目で見ないと何を感じるかは分からない。本作に登場した場所に想いを馳せながらその都道府県のことを調べるのがとても楽しかった。旅行先に迷っている方は、きっと本作からヒントをもらえるだろう。いつかの旅に備えての予習に、是非。
https://ddnavi.com/serial/sato_hinata/
佐藤日向(さとう・ひなた)
12月23日、新潟県生まれ。
2010年12月~2014年3月、アイドルユニット「さくら学院」のメンバーとして活動。卒業後、声優としての活動をスタート。主な出演作に『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)、
『ラブライブ!サンシャイン‼︎』(鹿角理亞役)、『D4DJ』(福島ノア役)、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(暁山瑞希役)、『ウマ娘 プリティーダービー』(ケイエスミラクル役)など。ニコニコチャンネル「佐藤さん家の日向ちゃん」毎月1回生配信中。