若杉氏が語る「拝啓、奇妙なお隣さま」の魅力とは?
――主演・川崎皇輝さんの印象を教えてください。
お写真を拝見した当時は、キラキラしたアイドルという印象でした。でも実際にお会いしてみると、ものすごく真摯(しんし)に脚本と向き合ってくださっていたり、私がどのようにこの作品を描いたのかを知るために、「(脚本は)どういうふうに書くんですか?」と積極的にお話をしてくださいました。
最初はアイドルらしいキラキラした印象だったのですが、それだけではなく、一つ一つのお仕事に対して、努力をされている方という印象も加わりました。
また、川崎さんが「今回、ドラマ単独初主演としてやらせていただいて、どうしたらこの作品のよさが伝わるかというのを考えているんです」とおっしゃっていて、私の書いた脚本に対して、こんなにも真剣に向き合ってくださるのだと知ることができて、すごくうれしかったです!
――脚本を手掛けた若杉さんだから思う、「拝啓、奇妙なお隣さま」の見どころや魅力について教えてください。
どの家族もいつか向き合わなければならないことがテーマの一つになっていますし、このドラマを見た人が自分を肯定できるようになっていると思います。この物語の登場人物のような状況の方が視聴者の中にはいると思うので、その方の支えになれたら幸いです。
考え抜かれた「ハレーションラブ」のストーリー
――次は「ハレーションラブ」についてお伺いします。連続ドラマの脚本を手掛けるのは「初」だと思いますが、書いてみた感想は?
連続ドラマとなると、自分が一番初めに想定していたよりも、事件が足りなかったり、展開がもっと必要だったり、ということが多々ありました。企画の段階では、これで面白いものが書けそうだと思うのですが、実際にプロットで書き起こしてみると、1話1話が弱くなってしまったりもしました。
そういったことは今まで、自分が考えられていない部分でもあったので、全話分の展開をどのように作っていくのかということも勉強になりました。その上で、ストーリーの展開だけではなくて、ヒューマンドラマという面もきちんと描きたかったので、たくさんのことを考えました。
初めてのことだらけで大変なこともありましたが、「あぁしよう」「こうしよう」と考えながら楽しく書くことができました。
――この作品にとってカメラや「ハレーション現象」といったものが深く関わっているかと思いますが、そういった発想はどこから?
カメラがすごい詳しいわけではないのですが、見たものを写真に残すということがすごく好きなんです。中学校に上がる前から生活の一部としてスマートフォンがありましたし、写真を撮るという行為は本当に身近なものでした。
私自身、友だちの誕生日にアルバムを作ったり、自分用にプリントして、部屋に飾っているタイプなんです。そんなきっかけもあり、ふと映像という動く物の中に、動かない静止画があったら面白いだろうなと思ったんです。
また、写真を見た時に、その当時の記憶がよみがえるということはよくあると思うんです。その写真の記録がいろいろな人の記憶の一部なんだろうなと考えると同時に、写真の共有が記憶の共有なんだと気付き、ドラマにしたら面白そうだなと思いました。そういったところからカメラをテーマにした作品として、「ハレーションラブ」を作らせていただきました。
松竹
発売日: 2022/11/23