長らくテレビを見ていなかったライター・城戸さんが、TVerで見た番組を独特な視点で語る連載です。今回は『専門家の意見が真っ二つ!どうなるでSHOW』(TBS)をチョイス。
休日の昼下がり、王道バラエティに救われたい「どうなるでSHOW」
どうなるんだ…?というただそれだけの純粋な気持ちで鑑賞した『どうなるでSHOW』は、いかにも、ああ、今テレビを見ている、という感慨に浸ることのできる番組である。相変わらずオープニングはほぼ存在せず、すぐさま本題へ突入するこのスピード感、長い間テレビを見ていなかった私は現代テレビの速さに驚いたものだったが、その速度にもすっかり慣れてきた。よくよく考えたら、私がテレビっ子だった当時からオープニングなど存在しなかったのかもしれない。覚えてない。そういやレッドシアターなんて、番組が始まると同時にコントが始まっていたような気もする。この曖昧さこそテレビというもので、番組表の通りに我々の目の前を次々と横切っていく存在、少なくとも、私とテレビの付き合いは、そういうものであったのだ。
話が逸れてしまったが、この『どうなるでSHOW』のテレビ番組っぽさというのは特筆に値する。スタジオに複数名のタレントと、複数名の有識者がいて、VTRの結末を有識者が予想し、タレントがやいのやいのと反応する。有識者たちは肖像画の額縁の中に収まっているという小粋なアイディアに、ChatGPTの回答を代弁するキャラクター(”ゴリレオ・ゴリレイ”)も有識者に加わっているという現代性。『野菜を海に沈めたら漬物になるのか?』というキャッチーな疑問に、潤沢で大掛かりな検証体制。芸人がロケに行き、専門家と一緒に検証にあたる。まっとうなテレビ番組で、もはや安心感すら覚えてしまう。
深海に沈めた野菜に嗅覚の発達した深海魚たちが集まってきたり、成層圏をただようポテトチップスだったりと、非常に興味深い、この番組でしか見られないであろう光景を見ることもできる。本当にテレビ番組として隙がないというか、素直な言い方をすれば抜群に面白いのだ。私個人としてはゆるめの番組が好みなのだが、時にこういった王道バラエティを見ると、「これこそがテレビだ」なんて身も蓋もなく思ってしまうのも事実。7月8日の土曜14時に放送されたそう(この貫禄で単発番組というのも驚き!)だが、まさに休日の昼下がりを過ごすにはピッタリの娯楽、気が滅入るほどの猛暑で頭もロクに働かない今、王道バラエティと、朝日奈央に救われてみたい。