晃「今なら死んでもいいかな」
洗い物をしながら、晃は桂一に「桂ちゃん、私と子ども、作りませんか?」と言った。桂一は「え? それは...俺たちには...」と困惑するばかり。そんな桂一に対して「冗談ですよ。そんな顔しないでください」と言って安心させつつも、「子どもを作るマネごとなら、私たちにも出来ますよね」と言ってさらに困らせてしまう。
休みの日に2人で海に出かけた時も、滝を見ながら「今なら死んでもいいかな」と言ったり、「ウソ。死にたくない。桂ちゃんと一緒にいたい」と言ったり、一緒にいられる幸せと、結ばれることが出来ない不幸せの間を、晃の心は行ったり来たりしているのが見てとれる。
桃子に浴衣を作ってもらった晃は、桂一と夏祭りへ。ここで“幸せ”だった晃の心は“不幸せ”へと大きく振り切ることとなった。
“ずっと一緒にはいられない”という現実を叩きつけられる
山田と桂一が絵本作家の帆奈(谷まりあ)の話をしていた時に、桂一が「帆奈さん、何だか魅力的な人でしたから」と言った言葉が晃の中で引っかかっていた。夏祭りの会場で、晃はキレイな女性を見かけ、少し会話を交わしたがそれが帆奈だった。
桂一と手を繋いでいた時に、桂一が階段の上にいる帆奈を見つけ、寂しそうな表情を浮かべた帆奈を追いかけた。繋いでいた晃の手を離して...。
しばらくして晃は桂一を探しに行くと、そこには帆奈と近所の子どもたちと一緒に楽しそうに笑う桂一がいた。
「桂ちゃんは私といると笑顔になれないの? 桂ちゃんは私といると幸せになれないの?」と、晃は心の中でつぶやき、「桂ちゃんとずっと夫婦でいられますように」と書いた短冊を握りつぶした。
帆奈が登場したことで晃の気持ちが大きく揺らぎ始め、壊れそうなくらい繊細な関係性の上に成り立っていた晃と桂一の“夫婦ごっこ”が本当に壊れようとしていた。
晃の心の揺れ動き、心情を山下が細やかに表現。晃にとってツラい展開となったが、山下の言葉、そして表情がより切なさを増幅させている。“夫婦”という今の関係は終焉を迎えるのかが気になる。
◆文=ザテレビジョンドラマ部