コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、イラストレーターのオキエイコさんが描く『もしもなんて来ないと思ってた猫』をピックアップ。
本作をTwitterで2023年7月4日に投稿したところ、2.4万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、オキエイコさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
事故に遭って帰ってこない飼い主を探しに行く2匹の猫の物語
物語は、2匹の猫を飼う澤田凛が病室で目覚めるところから始まる。どうやら事故に遭い、意識不明のまま6日間も眠っていたようだ。凛が真っ先に頭に浮かんだのは、家で飼い主の帰りを待つ2匹の猫。6日間も飼い主が家に帰ってこないままで、果たして猫たちは無事なのかが心配だ。
一方、作品は2匹の猫の視点に切り替わる。凛の飼っている猫は、子猫のときから凛と一緒に暮らしている「マメ」と、野良猫時代に怪我したところを凛に助けられ、そのまま一緒に暮らしている「クロ」だ。いくら待っても飼い主が帰ってこなくて不安になっているマメとクロ。飼い主の帰りを待って丸2日が経とうとしているところに、なんと空き巣が入って来るのだった。
一大事に感じた2匹は物陰に隠れるが、マメはいなくなった飼い主のことが気になり、空き巣が入ってきた窓から外へ飛び出した。
「マメを守ってあげてね」
昔、飼い主から言われた言葉を思い出したクロは、外が危険であることを知りつつも一緒に飛び出すのだった。
2匹のネコは、クロが野良猫時代にお世話になったボスや仲間が集まるアジトへ向かう。ボスに事情を伝えて、飼い主探しを手伝ってほしいとお願いした。事情を知ったボスと仲間たちが力を貸してくれることとなり、本格的に飼い主探しが始まった。
しかし飼い主の会社や病院など、いくら探しても飼い主の姿は見つからず、次第に「生きていない可能性」の不安で心がざわつくマメとクロ。そして、つらさの限界を迎えたマメが一人で飼い主の家へ帰ってしまったところを、空き巣と思われる2人組に捕らわれてしまう。事情を知ったクロがボスに助けを懇願したところ、ボスのとっておきの作戦「鮭(シャケ)に願いを」が発令されるのだった――。
本作は、これまでの話を一気に読めるツイートが投稿されているため、大変読み応えのある作品だ。物語が後半に入ってさらに盛り上がりを見せるため、今後の展開に目が離せない。
作者・オキエイコさん「ある日突然事故に遭ったら、家で待つ猫はどうなってしまうだろう」
――『もしもなんて来ないと思ってた猫』が生まれたきっかけ・理由などがあればお教えください。
物語の始まりでもある、「ある日突然事故に遭ったら、家で待つ猫はどうなってしまうだろう」という動物と暮らす人ならではの悩みから生まれた物語です。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
物語は前半だけ見ると完全に「猫が主役の物語」なのですが、中盤からは飼い主やその周囲の人間模様も加わります。
猫目線でも飼い主目線でも楽しめて、そして読者だけは両方の事情を知っているという、ある意味3Dな楽しみ方ができる様に心がけています。
――作品のなかで特に気に入っているシーンがあれば、理由と共にお教えください。
私自身が一番好きなのは、ボスがクロのために特殊作戦コードを発令したシーンです。
ちょうど100話に当たるので、あまりネタバレしない様にします…しんみりしたシーンが続いた後に物語がグッと動くシーンです。ぜひ読んで欲しいです。
――作品を読んで、「自分にもしものことがあった場合にどうやってペットの安全を守るのか」ということを、あらかじめ考えておく必要性も感じました。オキエイコさんにとって猫(もしくはペット)とはどのような存在なのかお教えください。
ありきたりな言葉になってしまいますが、私にとって猫は家族です。
作品を読んでくれた方に「もしもの時ペットをどう守るか」を考えてもらうきっかけになるのがこの話を描いた目的の一つなので、この物語の1話を読んで「怖い!」と思っていただけたら、まずは嬉しいなと思います。(でも怖い話ではないので安心して読んでくださいね。笑)
――『もしもなんて来ないと思ってた猫』の100話まとめ読みを投稿したツイートで、物語が後半に入るというメッセージがありました。作品やオキエイコさんの今後の展望・目標をお教えください。
前半は重たい空気が続いていたり、じれったい思いをさせてしまうシーンもありましたが、
後半はそれがどんどん繋がっていって、再会を目指して前向きになっていきます。
マメとクロの成長はもちろんのこと、飼い主・凛の成長も見守っていただけると嬉しいです。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
1日1P更新というじれったい漫画に付き合っていただき、ありがとうございます。
毎日にオチがあるわけではないので読むのも根気がいると思いますが、寄せられる感想が私の描き続ける源になっています。
でてくる猫達にはそれぞれ背景があり、この物語の中では描ききれない部分もたくさんあります。
物語が終わったら各キャラのスピンオフなども描きたいなと思っているので、ぜひ長い目で楽しんでもらえると嬉しいです。