戦隊出演後に感じた挫折と、その乗り越え方
──本作は一度挫折したボクサーが再度夢に向かっていく物語。横浜さんご自身はこれまで壁にぶつかった経験はありますか?
戦隊(「烈車戦隊トッキュウジャー」)を終えたときに、この世界で生きていこうと決めたのですが、そこからオーディションを受けても役を頂けず、1年くらい仕事がなかった期間がありました。そのときは壁にぶつかったというか、挫折したような気持ちでした。「この世界で生きていくと決めたことは合っていたのか」とも考えました。
──その時期はどう乗り越えたのでしょうか?
とにかく自分が今できることを探しました。いろいろな映画を見たり、ワークショップを自分で探して受けに行ったり。自分で決めたことだから、諦めないでちゃんと貫き通さないといけないと思って。腐らずに自分ができることを続けていたら、ここまで来られたという感じです。
──今振り返ると、当時はどんな時期だったと思いますか?
すごく大切な時間だったと思います。そのときはまだ10代だったので、周りと自分を比べて勝手に落ち込んでいましたが、そのままやるべきことを見失っていたら今ここにはいないと思います。本当に大事な時間でした。
──それにしても、その時期によく腐らないでいられましたね。
何でだろう。空手のおかげかなと思います。もともと精神的に強いほうではなかったのですが、空手で精神面も鍛えられたと思っていて。そういう意味でも、空手の経験は今も生き続けているなと思います。
俳優として唯一無二な存在になりたい
──その頃の努力が実ったと言うべきか、2025年大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」の主演も決まるなど、今や俳優として大活躍です。俳優としてのご自身の現在地はどのように捉えていますか?
まだまだです。だからこそ大河ドラマの主演なんてびっくりしました。いまだに信じられないです。俳優をやる上で大河ドラマに出演するというのは1つの目標でもあったので、その目標が叶ったという喜びももちろんありますが、共演者の皆さんやスタッフの皆さんと一緒にいい作品を作れないと意味がない。大きなものを背負って届けていく怖さもありますが……やはり楽しみが大きいですね。
──どんなところが特に楽しみですか?
(横浜が演じる)蔦屋重三郎という人物は、徳川家康ほどは広く知られていない人物だと思いますが、だからこそ大河ドラマをきっかけに蔦屋重三郎の魅力をたくさんの方に知っていただける。それは1つのチャンスであると考えていて、脚本家の森下(佳子)さんと監督と一緒に、史実を大事にしながらも自由に作っていけそうなところが楽しみです。
──最後に、この先、俳優としてやってみたいことや俳優としての理想像を教えてください。
変にとらわれずに、どんな作品にも出演していきたいし、どんな役も生きたい。「代わりがいないよね」と言ってもらえるような唯一無二な存在になれたらと思っています。そのために、まずは今やるべきことをしっかりやる。20代はまだまだ学ぶ年にしたいです。30代もきっと学ぶ年になると思いますが、とにかく今は目の前にあることに全力で取り組んで、たくさんのことを学んでいきたいです。
■取材・文/小林千絵
撮影/友野雄