コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家・箭坪幹さんによる『竜と贄の子』をピックアップ。
サンデーうぇぶり(小学館)に読み切りとして掲載されている本作。作者が6月10日にTwitterに投稿したところ、少年と竜の親子の絆に大きな反響が集まり、17.4万以上の「いいね」が寄せられた。この記事では箭坪幹さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
不幸な境遇の少年・アピと心優しい竜 奇縁により育まれた“親子愛”に反響続々
とある村に住むアピは、生まれ持った身体の痣が“竜の怒りを受けた傷跡”であるとされ、幼い頃から教会で懺悔の日々を過ごしていた。しかし祈っても消えない痣に、司祭はアピに体罰を与えることで赦すと、牢に監禁し生活させていた。
そんな中、教徒が森の竜の存在を恐れているという理由から、アピが“贄”に出されることに。竜の元に運ばれるも、同じ村に住む娘・ラゥラだけは彼の境遇に異議を唱えていた。贄となったアピを助けようと村人たちの目をかいくぐり森を訪れては、竜に必死に懇願するラゥラ。その姿が滑稽に見え面白く思った竜は、アピをすぐには殺さずにいたのだった。
2年の月日が経ち、竜と共生する中で木登りや魚釣り、戦い方などの生きる術を教えてもらったアピは、ラゥラにも見守られながらいつの間にか強くて立派な少年へと成長していた。しかしある日、彼らが共に生きている姿を偶然にも教徒の一人に見られてしまう。
村に連行された竜とアピは、償いのため自分たちが司祭や信者たちの前で殺されることを知る。自分勝手な司祭に竜のことを悪く言われたアピはついに怒り、剣を持って教徒たちに立ち向かうが…。
育ての親である竜を助けるため、アピが勇気を出して戦いに挑むラストに感動の声が集まった本作。Twitter上では「最高」「素晴らしい!!」「心が温まる」「映画5本見たくらいの感動!」「キャラのビジュ、性格、物語全部が好きすぎる」「素敵な家族愛」「生きてる間にこの作品と出会えて良かった」などのコメントとともに続編を望む声も多く寄せられ、大きな反響を呼んでいる。
「孤独感や苦しみを支え合える“絆”を描けたら」作者・箭坪幹さんが語る創作の背景とこだわり
――『竜と贄の子』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
ドラゴンを描きたいと思ったのがきっかけです。王道が好きなので、異種族との絆がテーマのバトルアクションにしました。
――少年・アピと心優しい竜、そしてラゥラ、それぞれのキャラクターや設定はどのように生み出されたのでしょうか?
はじめに自分が理想とするドラゴン(デカくて滅茶苦茶に強く、それ故にちょっと自分以外を下に見ている)を作り、その正反対のキャラクターとしてアピとラゥラを作りました。
喋りも性格も全然違う3人(匹)だけど、心のどこかに共通する押し込めた孤独感や苦しみがある。それを支え合える絆を描けたらと思い、設定を組み立てていきました。
――本作をTwitterに投稿後、17.5万を超える「いいね」が寄せられ大きな話題を集めました。今回の反響について、どのように受け止めていますか?
最初の頃は伸びていく数字を見て、他人事のように「スゲー」と思っておりました。感想リプライや引用を読んでようやくありがたみを実感し、そこからは拡散が落ち着くまで喜び半分、緊張半分でした。今は読んでくださった方々への感謝の気持ちでいっぱいです!
また、どのコメントも嬉しかったのですが、ドラゴン好きの方々から「良い!」と認めて貰えた時にはヨッシャー!と思いました。
――本作の中で箭坪さんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?理由と共に教えてください。
ちょっとしたシーンですが、アピに服を着ていないことを茶化されたドラちゃんの「鱗こそ至高の衣よ」と返したセリフが一番気に入っています。
彼はアピとの共生に対して種族間の悩みを持ちつつも、己がドラゴンであることには誇りを持っていて欲しかったのです。
――箭坪さんは本作以外にも、新人コミック大賞入選作『リベルタの墓守』や『殺しの神童』(ともに小学館)など“絆”や“さまざまな愛情”をテーマにした漫画を描かれていますが、創作全般においてのこだわりや物語を創り上げる際に意識している点がありましたら教えてください。
人間関係を主軸にした心の成長物語が大好きなので、気づけば友愛がテーマの作品ばかりになっていました。
相手に対する表情や仕草などの些細な変化で友情や愛情の深まりを表現することを意識しているので、読者の皆様にもこのこだわりが伝わっていたらいいなと思います!
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも応援いただきありがとうございます!!
私の作品を読んで「ちょっとだけ良い体験をしちゃったぜ」と、そんな風に思っていただけるような漫画作りを目指します。これからも何卒よろしくお願いします!!!