自身の問題にもがき苦しむ一流シェフを熱演
料理に対して強いこだわりと情熱を注ぐ一方で、自身のトラウマとも戦うカーミー。才能がありながらも、過去に働いていた一流レストランシェフ時代は、職場の重圧に押し潰され店を辞め、そして疎遠になっていた兄の突然死、姉ともどこかすれ違っていて、劇中では終始憂鬱な表情を見せるカーミーが、物語が進むにつれ少しずつ自分自身、今の職場と向き合っていく不器用な努力をジェレミーは見事に演じきっている。また、要所で見せるどんよりした雰囲気と暗い表情で悩む姿は、セリフが少ないシーンにもかかわらず、見ている側も徐々に感情移入してしまう。
シーズン1の最終回では、兄が遺した手紙を読んだカーミーが、予想だにしないことから店のリニューアルを決意し、店名も「The Bear」に改名。シーズン2の第1話では、リニューアルオープンに向け、カーミーやシドニーらは準備に追われる日々が始まる。
普通の“料理ものドラマ”だと、第1話の新装準備期間などはみんなで新たな夢(店)に向かって仲良く一直線!夢いっぱいに広がる~…というところなのだが、そこはやはりひと味違う本作。このあたりの一筋縄ではいかないバタバタ感も彼ららしい怒気や皮肉に満ちたもので、見ていて飽きがこない。喧嘩するほど仲が良いというのともまた違ったやりとりも、どこか心地いい。
思った以上にガタがきている店だったため、リニューアルに際しての金銭を工面をすべく、叔父のジミー(オリバー・プラット)に店のパートナーになってほしいと頼み出て、条件付きで許諾を得たカーミーらは、急ピッチでオープンに向けて動き出す…というところまでが第1話。
シーズン2は全10話(一挙配信)で、相変わらず各話30分ほどなので気負うことなく見られる。できればシーズン1を見て、彼らの人間関係も理解した上でシーズン2に入ってもらうと、より味わい深い作品として堪能できるはずだ。
「一流シェフのファミリーレストラン」シーズン2は、ディズニープラスのスターで独占配信中。
◆文=suzuki
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/the-bear/
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