コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、Twitterやpixivでポップなイラストの漫画を多く投稿している、こおにたびらこさんの『野菜を洗った日』をピックアップ。
Twitterで2023年7月11日に投稿したところ、3.2万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、こおにたびらこさんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
可愛らしいプリンセスとウサギたちが川へ野菜を洗いにやってきた!
『野菜を洗った日』は、Twitterでシリーズとして投稿されている『ウサギのプリンセス』のなかのお話だ。この世界では、可愛らしいウサギのプリンセスとウサギたちが毎日楽しく暮らしている。
そして、今回の作品は、みんなで仲良く川へ訪れて野菜を洗うお話。野菜の上手な洗い方や洗った後の並べ方など、プリンセス自ら実演してみせる。その美しく優雅な姿に、一緒にいたウサギたちはうっとりと拍手を送るのだった。
そして、そこへ野菜泥棒のツキノワグマが現れる。
「ウサギのものは ツキノワグマのもの」
ツキノワグマが強気でそう発言するも、すかさずドロップキックをお見舞いするプリンセス。優雅な見た目と違い、ダイナミックな行動だ。
注意するプリンセスに対し、おわびに野菜を洗うと提案するツキノワグマ。早速、プリンセスたちと並んで野菜洗いを始めるが、張り切り過ぎたツキノワグマは野菜をボロボロにしてしまう。
無言のまま睨むプリンセスを見て、ツキノワグマは“けじめ”を提案。その“けじめ”とは、ツキノワグマのトレードマークである月の輪模様をペンキで消してしまうことだった…!しかし、優しいプリンセスは、模様を半分だけ消すにとどめて、その寛大な対応にウサギたちから拍手が送られる。
慈悲深いプリンセスと拍手を送るウサギたちに「めでたしめでたし」の空気が流れるなか、ツキノワグマはやや不満げな様子を見せるのであった――。
作中、「毒のある虫には気をつけろ」とアドバイスしてくれた虫を容赦なく払い落すウサギの様子や、川で乱暴に野菜を洗うウサギの耳をプリンセスがカニのハサミで“チョキ”っとする場面など、所々で思わず目を留めてしまうようなブラックユーモアが効いたシーンが散りばめられている。擬音やコマ割りなどで伝える独特な世界観が癖になる作品であるため、ぜひ一度読んでみてほしい。
作者・こおにたびらこさん「わざと塗りムラなどが残るようにしています」
――『野菜を洗った日』をはじめ、『ウサギのプリンセス』はどのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
一作目を描く少し前にウサ耳のキャラクターのイラストを描いたのですが、そのイラストの雰囲気を漫画にしたいと考えてウサギのプリンセスの構想が進んでいきました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
絵になる絵を描きたいとよく思っています。それはなんとなく自分の中にある抽象的な理想なのですが。
あとウサギのプリンセスシリーズは、全体的に色を付けた後に上から色を重ねて塗っていて、わざと塗りムラなどが残るようにしています。
少しラフな印象をだす為です。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
2ページ目の「チョキ」「ぎゃー」の流れが気に入ってます。
以前からカニに挟まれるウサギのシーンをどこかで描きたいと思っていて今回やっと描けてよかったです。
川も描きたい場所の一つだったのでそれも叶いました。
――シリーズを通して、プリンセスのちょっとダークな一面にクスっとしてしまいます。こおにたびらこさんにとってのプリンセスの魅力をお教えください。
わりと色々許してくれるところが魅力かもしれません。
――こおにたびらこさんや作品の今後の展望・目標をお教えください。
目標というわけではないのですが、絵的なことでいいますと、もっと奥行きや躍動感が描けるようになるといいなと思いながら漫画を描いています。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも読んでくれる方々の反応が創作の活力になっている部分はとても大きいです。
作品を読んでくれて本当に感謝です。