コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回ピックアップするのは、漫画家の彦田ジュンさんによる『絶対に女の子』だ。
普段は『ボーイミーツ遍在ガール』という漫画をTwitterなどで連載している彦田さん。2023年6月26日のツイートした短編作品『絶対に女の子』は多くの読者から好評のようで、6000件以上の「いいね」を獲得している。そんな彦田さんに話を伺い、同作が生まれた経緯や裏話などを語ってもらった。
女の子のかわいい投稿の裏には裏がある
本作の主人公はインターネットで毎日を記録することがマイブームな女の子。かわいいものが大好きな彼女は、フリフリの服やネイル、香水など日常の写真を発信し、多くのファン達も応援していた。
しかしある時、「これ全部拾い画じゃね?」という1件のコメントが。その投稿をきっかけに彼女が投稿していた写真はすべて、“ネット上に公開されている画像を転載したものだった”ことが他ユーザーにバレてしまう。衝撃的な事実を知ったファン達によってすぐさま炎上。現実世界でスマホ画面を見ながら焦る彼女の顔はまさかの…。
衝撃的なラストに対し、ネット上では「可愛い女の子の正体がむさくるしい男って知って言葉を失った」「感情移入はできなかったけど、まさかの展開で面白かった」といった反響が多数寄せられていた。
むさ苦しい男性を書くのが楽しすぎる!
――『絶対に女の子』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
むさ苦しい男といたいけな女の子の組み合わせが大好き!という純粋な私の趣味からだったと思います。最初にデザインしたのは男の方でした。冴えない感じの男キャラを一人描いて、そこから広げていった感じです。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
1ページ目と最後のページで同じ漫画ってわからないくらい落差をつけました。私は男性と女性で画風が変わってしまうタイプなのですが、この漫画ではそれを逆手に取りました。白くて美しい世界と、じめっとした暗い現実の世界の対比、引いて見た際のコントラストを意識し、結果としてそれがどんでん返し的な演出にいい感じで繋がったと思います。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
3ページ目の焦燥感、無慈悲に叩きのめされる感じが好きです。「ネットで炎上した人ってどんな風に画面を見てるんだろう」「スマホから手放せないだろうな」「その後の予定とか手につかないだろうな」みたいなことを考えて自分でも嫌な気待ちになりました。そこから画面が消えて現実を見せつけられるかのように自分の顔が映る、という演出もかなり気に入っています。
――作中に登場する隆史は男性だと思うのですが、なぜ同性のイケメンではなく、女の子になりすましたのでしょうか?
隆史はイケメンが嫌いだと思います。作中に出てくる「可愛い女の子」という概念は、隆史にとって最も美しく、最も穢れのない、いわば神様のような存在です。日常系アニメの美少女キャラ、キラキラしたアイドルの女の子など。女の子になりたい、という以上に自分の存在が嫌いだったのだと思います。
――同作に対して多くの反響があったかと思いますが、特に印象に残っている・嬉しかったコメントを教えてください。
現代的なテーマを扱っている漫画のように捉えられてしまうかもしれませんが、「むさ苦しい男性描くの楽しい!」という純粋な気持ちから生まれた漫画なので、そこを汲み取ってくださるコメントは嬉しかったです。「かわいい」「惨めで愛おしい」「幸せになってね」など。きっと隆史も可愛がってもらえて喜んでいると思います。
――ある意味同作はネットリテラシーを理解するための教訓ともなると思いますが、こういった“他人に偽る”や“なりすまし”といった行為に対する彦田さんの意見をお聞かせください。
一般常識においてはよろしくない行為ですし、わたしも基本的にはそう思いますが、だからこそ「どういった考えでその行為に行きついたのかな?」と興味深くもあります。
『絶対に女の子』も何かに対する批判のような意図は無く、どちらかというと、なりすまし行為に対する自己解釈や、正しく生きられない人に寄り添いたい気持ちが大きいです。
――今後の展望や目標をお教えください。
Twitterで二話と番外編まで掲載している『ボーイミーツ遍在ガール』という漫画があるのですが、この作品を頑張って続けたいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
いつもいつも本当にありがとうございます。私の作品に少しでも寄り添っていただけるのが、私の作品を一瞬でも頭の中に置いてくださるのがとても嬉しいです。これからも気が向いた時にでも見ていただけるとありがたいです。