コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、自分の大切なもの引き換えに理想の彼氏を手に入れた大学生を描いた『フリマで恋人を買う話』をピックアップ。
作者である屋乃啓人さんが5月26日に本作をTwitterに投稿したところ、ラストの展開の意外性に大きな反響が集まり、1.2万以上の「いいね」が寄せられた。この記事では屋乃啓人さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
不思議なフリマで買ったものは理想の彼氏?予想外のラストに反響続々
大学生の能登まひるがゼミの飲み会帰りに出くわしたのは"なんでも"売っているという不思議なフリーマーケットだった。このフリーマーケットではお金ではなく自分の大事なものと引き換えに欲しいものが手に入るという。酔っていたまひるは即座に「じゃあカレピくれ」と言い放ち、訳も分からないまま帰路につくのだった。
翌朝まひるが目を覚ますと、まひるの彼氏だと語るイケメン・秋津理人が家にいた。昨日の記憶をたどろうとするも何も思い出せず、一緒に飲み会に参加していた友人・ちどりに話を聞く。するとそこには自分に身に覚えのない世界があり、ようやく変なフリーマーケットで彼氏を買ったことを知ることになる。
最初は秋津に対し違和感やわだかまりがあったまひるだったが、いかにも"理想の恋人"として接してくれるイケメンで優しい秋津に徐々に惹かれていくのだった。そんなある日、ひょんなことからフリーマーケットで秋津を買ったこと、自分の"何か"大事なものを差し出したことを思い出す。
フリーマーケットで秋津を買ってから引っかかっていたいくつかの違和感をちどりに打ち明け、すべての真実を知らされたまひるがとった行動とは…。
すべてを知ったまひるが起こした勇気あるラスト展開に感動の声が挙がった本作。Twitter上では「綺麗な終わり方」「最高の読後感」「世にも奇妙な物語でも通用するようなすてきな話」「泣ける」「エンドへの持っていき方がほんとに大好き」「何これ、えもい」などのコメントが多く寄せられ、大きな反響を呼んでいる。
「先を読まれないような工夫を」作者・屋乃啓人さんが語る創作の背景とこだわり
――『フリマで恋人を買う話』を創作したきっかけや理由についてお聞かせください。
タイトル先行です。違和感があり、かつキャッチーなタイトルを先に考えてそこに肉付けしていったかたちです。
もともとTwitterに載せるような単発ものを描くのが得意ではありませんでした。Twitterに載せるには長い読み切り形式のものを描くのが得意なので、「じゃあ冒頭の4pがうまく軌道に乗ったら続きを描こう」という気持ちで描き始めました。当時は確かフォロワーが3000人くらいしかいませんでした。
恒川光太郎先生の小説「夜市」に強く影響を受けています。
――本作は、欲しいものを手に入れるには自分の大切なものを手放さなければならないという変わった等価交換をテーマに描かれていますが、創作する上でこだわった点や意識した点があればお聞かせください。
先を読まれないように工夫しました。主人公は酒に酔って記憶をなくしてるので、自分が何を差し出したか覚えていない。大事なものを失ったことだけ分かるのにそれが何か分からないってちょっとした恐怖だと思うので、そこを謎にしたある種のミステリー的要素も入れてみました。
あと秋津(主人公の恋人)をイケメンにするのが苦労しました…というかあんまりできてません。
――本作の中で屋乃啓人さんが特に気に入っているシーンやセリフがあればお聞かせください。
「まいどありとマイダーリンって似てるよぬぇ」ってセリフが気に入ってて今でも思い出します。
常識が通じないはずの妖怪の店主がちょっと引いてるのが面白くて気に入ってるコマです。
――創作活動全般において屋乃啓人さんが特に意識していることや気を付けていることがあればお聞かせください。
新規の人にいかに届けるか、ということと、既存の応援してくれる人にいかに飽きられないか・満足してもらえるか、はつねに意識しています。むずかしいです。
――屋乃啓人さんは本作以外にもラブコメやミステリーなどさまざまなジャンルの作品を描かれていますが、今後挑戦してみたいテーマなどがあればお聞かせください。
やりたいことをやっているので特にないですが、強いて言えばバトル要素があるものが描きたいな〜とは思います。バトルとなったら商業ですかね。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
現在つよくてニューゲームなラブコメという漫画を描いていて、これをぜひよろしくお願いします!つよニュー多分面白くなるので最後までよろしくお願いします!