新キャストを交えての展開にワクワク
新シーズンの追加キャストとなったポール・ラッドとメリル・ストリープが、物語に新たなエネルギーを加える。ポールは代表作「アントマン」で身長1.5センチとアリのように小さくなるヒーローを演じているが、本作でふんするベンの代表作では6mのコブラに変身するヒーローという設定が映画ファンとしては楽しいところ。第2話では、チャールズとの因縁が明らかになり、その苦悩を吐き出す演技が胸を打つ。いやな奴と言われるが、苦しみも抱えているという複雑な役どころだ。
一方、アカデミー賞主演女優賞も獲得し長年にわたり第一線で活躍しているメリルが長い間“売れない”俳優だったというキャラクターもひねりが効いている。オリバーの舞台の読み合わせで、役を探るためにせりふの言い回しを変化させるところはさすが(物語ではそれがベンの不評を買うのだが)。また、映画「マンマ・ミーア!」(2008年)などで披露している優れた歌唱力が本作で聞けるのも見どころだし、きっとこの後何らかの仕掛けがあるのだろうと期待が高まる。
そして主人公3人は、巻き込まれた事件以外に人生と向き合う。なんとか舞台を成功させてキャリアを再び輝かせたいオリバー。ベンとのことで自分を振り返るチャールズ。メイベルは、叔母にアパートの改装を依頼されて住んでいたのだが、叔母が部屋を売ることになり、4週間で出て行かなければならないという状況で、モラトリアム期から抜け出す人生を考える時にきている。ちなみにメイベルが改装完了させた部屋のゴージャスさもすばらしく、物語の舞台となっているアパートの魅力を引き立てている。
新たな事件と密接にチャールズ、オリバー、メイベルが関わり合いながら、紆余曲折のある人生をどう進んで行くのかも気になるところだ。もちろん、中心となる3人の楽しいやりとりは期待を裏切ることはない。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/only-murders-in-the-building
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