ディズニーが創立100周年を迎えることを記念して、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオが製作したクラシック短編コレクションの初期作品から、新たに修復した27作品が創立月である10月にかけてディズニープラスで順次見放題独占配信中だ。この8月より配信された第2弾は「ドナルドの腕白教育」(1938年)、「食いしん坊がやってきた」(1939年)といった、ドナルドダックが主役の短編を含む全6作品。今回はミッキーマウスよりも実は出演作品が多いと言われる“愛されキャラ”ドナルドダックの短編作品シリーズと合わせて、ディズニーの歴史を紹介しよう。(以下、ネタバレを含みます)
デビュー作では“脇役”だったドナルドダック
数あるディズニーキャラクターの中でも短気な性格で、喜怒哀楽がとても激しいことで知られるドナルドダック。いつも誰かにイタズラを仕掛けたり、悪巧みを思いついたりと、悪知恵が働くイメージだが、どこか能天気で騙されやすいお調子者のため、宿敵のチップとデールにはこてんぱんにやられてしまったりと、ディズニー屈指の憎めないキャラクターとしておなじみ。そんなドナルドダックは1934年に公開された短編作品「かしこいメンドリ」でディズニー作品に初登場した。
ドナルドダックの記念すべきデビュー作品となった同作は短編シリーズ「シリー・シンフォニー」(1929-1939年)の中の45作目。この時のドナルドダックは主役ではなく脇役として登場しており、主人公のメンドリのお願いを仮病で断ってしまうような相変わらずのキャラクターだったが、この作品をきっかけに注目を集め、ミッキーマウスを上回る出演本数を叩き出す人気者へと成長していくのであった。
ウォルト・ディズニーが長編アニメーション映画の製作をスタートさせた1930年代後半、ドナルドダックの短編作品が次々と公開され始めた。初期作品の一つ「ドナルドの腕白教育」(1938)では、ドナルドダックの3人のおいっ子ヒューイ、デューイ、ルーイが初登場し、ドナルドダックは3人のおじさんとして初共演を果たす。かわいいおいっ子たちと会えることを楽しみにしていた気持ちとは裏腹に、家に来るやいなや大暴れのわんぱくな3人組にあたふたしてしまう。ドナルドダックは自宅にあった「MODERN CHILD TRAINING」の本に記載された子どものしつけ方法を実践してみるが、全く通用せず、おいっ子たちにやられっ放しの少々哀れな姿が描かれている。
「食いしん坊がやってきた」(1939年)では、くせ者ぞろいのドナルドダックファミリーの中からいとこのガス・グースが登場。ドナルドダックは歓迎モードで出迎えるものの、大食いのいとこに、家中の食べ物を食べ尽くされてしまう展開をコミカルに描いた作品だ。またもや完敗してしまうのだが、プンプン怒ったり、悪い表情でいとこを追い出そうと企む姿はドナルドダックらしくとてもかわいらしい。
映画界を揺るがす気鋭の傑作が誕生
1940年代に入るとディズニー3作目となる長編アニメーション映画「ファンタジア」(1940年)がアメリカで公開され、クラシック音楽とアニメーションをシンクロさせた試みは、当時の映画界に大きな衝撃を与えた。
同作は世界初のステレオ音声映画ということだけではなく、映画作品を保護するアメリカの国立フィルム保存委員会に、歴史的な作品として映画「白雪姫」(1937年)に続いて登録され、ディズニー史にも大きな影響を残した名作の1つと言われている。
一方この頃のドナルドダックは、グーフィーやプルートなどゆかいなディズニーキャラクターたちと短編作品で活躍していた。
短気な性格から“悪役側”になることも多いドナルドダック。「ドナルドのボロ飛行機」(1943年)では、詐欺を企もうとするハゲタカのベン・バザードから、故障している中古の飛行機を買ってしまう。しかし、さまざまな罠を間一髪のところで回避し、最後には運を味方に付けて勝利する。いつもやられてばっかりのドナルドダックだったが、ハッピーエンドで終わるラストに思わず見ているほうもうれしくなってしまう作品だ。
このほど配信された作品の中にはドナルドダックだけではなく、ミッキーマウスのやんちゃな双子のおいっ子が登場する「ミッキーの道路工事」(1934年)などもある。名作ぞろいのクラシック短編コレクションを通して、あらためてディズニーの歴史をかみ締めることができる。
◆文=suzuki
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/donalds-nephews/
▼【公式】Disney+(ディズニープラス)で「食いしん坊がやってきた」を見る
https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/donalds-cousin-gus/
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