コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ラブコメ漫画や可愛いイラストを創作する西島世那さんの『この関係の名前は』をピックアップ。
X(旧Twitter)で2023年7月21日に投稿したところ、4.7万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、西島世那さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについて語ってもらった。
友達でも恋人でもない…でもずっと一緒にいる二人の関係に名前はあるのか
作品に登場するヒメとえーいちは中学からの関係だ。教室の後ろの席にいたえーいちにヒメが演劇部へ勧誘してから、大学生になった今まで二人はずっと一緒にいる。同じ部屋で同居もしているのだ。
一緒にいるのが当たり前の二人だけど、実は付き合っているわけではない。友達でも家族でも恋人でもない――。二人だけの言葉にできない関係になっていた。
傍若無人なヒメにとって、えーいちは“何でも言うことを聞くし 気が利く存在”。一緒にいることが当たり前で、その関係に名前をつけるなんて考えたこともなかった。ヒメはそれでいいと思っていたが、最近のえーいちは反抗的な態度をとったり、言うことを聞かなくなったりし始めた。
“私がいないとダメダメなくせに…”
えーいちの態度に、ヒメは疑問や不満を感じ始めていた。
そんな中、ヒメは大学の映画研究部が自主製作する作品の出演オファーを受ける。そして撮影中、学内での泊まり込みを提案されたヒメは、当たり前のようにえーいちも同伴する前提で話を進める。
映研の学生は、「二人って友達にしては距離が近いよね」と不思議そうにして、付き合っているのではないかと疑問を投げかける。しかし、ヒメは友達であることも恋人であることも否定した。
「…じゃあさ 君らの関係って何?」
これまで考えもしなかった疑問を突き付けられたヒメは、驚いたような表情を見せるのだった――。
ヒメはこの質問に対して何を思い、二人の関係にはっきりとした名前が付けられるのか。続きが気になる人は、「ヤングガンガン2023 No.15」をチェックしよう。
作者・西島世那さん「私の好きなもの100%」
――『この関係の名前は』を創作したきっかけや理由などをお教えください。
今まで色んなジャンルの漫画を雑多に好き勝手描いていたのが、商業でも描かせていただくようになってからは「自分の漫画はどうやったら読まれるだろう」と深く考えるようになり、方向性がブレて悩んでいた時期に、もう一度好き勝手設定を考えたのがえーいちとヒメでした。わがまま美人と生意気従者、そして恋愛感情のない同居が大好きなんです。
それから、自分の漫画で一番自分が萌えているのって「キャラクターの関係性」だということに至り、「キャラ単体」を愛でる漫画ではなく、「キャラの関係」を愛でていく漫画を描きたいのだなとストンと腑に落ちて、この二人にしか作ることができない関係を描こうと思い、このタイトルになりました。
――今作を描くうえで、特に心がけたところ、大切にしたことなどをお教えください。
ヒメさんが傍若無人のわがままお姫様なので、この可愛さなら許されるだろうと思ってもらえるように滅茶苦茶気合入れました。あとは、役者として生きる二人だったので身だしなみやファッションがダサくならないようにインスタで流行を検索しまくってました。大学生を描くと服が毎回違うので大変でした……ヒメさんのイヤリングも毎回変えていました。
話の面では、後半のえーいちの独白のモノローグ等、普段言葉よりも絵を重視するタイプだったんですが、今回は言葉選びを凄く気を使っています。何者にもなれない絶望を描けていればいいなと……。
――作品の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
中学時代のヒメがスポットライトを浴びて現れるシーンです!ここは舞台のワンシーンのように描こうと思っていました。スポットライトって照らされるとすごく熱くてジリジリして、周りの塵も反射してキラキラしていて綺麗なんです。そんな光と熱に魅せられるえーいちのシーンが描けて満足でした。
――投稿へのコメントを見ると、“続きが気になって雑誌を買った”という声や、ヒメとえーいちの関係に名前をつける読者もいました。今回の反響をどのように感じているのでしょうか。
予想以上の反響にビビりまくってます(笑)勿論、どんな漫画でも読者に楽しんでいただくために毎回最高のものを描こうと思っているんですが、「この関係の名前は」は私の好きなもの100%、手探りの中で生まれた普段あまり描かない話だったりと挑戦の一作でしたので、正直ここまでの人に評価していただけると思っていませんでした。でも、先ほど話した通り自分の中で決めた漫画への想いが、読者に楽しんでいただけるものになっていたのが嬉しくて自信になりました!二人の物語を読んでくださりありがとうございます……!
――西島世那さんの今後の展望・目標をお教えください。
小学生の頃、友達の姉が漫画を描いていたのを見て「漫画って自分で描けるんだ」と思ってからここまでずっと、自分も含めた読者に楽しんでもらうために漫画を描いている気持ちはずっと変わっていませんし、これからも目標の一つです。
それと「自分の作品が、誰かの頑張るきっかけになる」が新たな目標になりました。人生を変えることが出来るのはその人自身の力ですが、人生を変えるほんの少しの勇気のお手伝いができればと思っています!
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いつも私の漫画を読んでくださりありがとうございます!これからもたくさん漫画を描いていきますので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです!