コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、“意外な方法で悪を成敗する霊媒師”を描いた漫画『人を迷わせる悪霊を退治する話』をピックアップ。
作者である漫画家の矢薙さんが、2023月6月24日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、1.7万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では矢薙さんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
悪霊の能力を強盗集団に活用
物語は、女性が落ち込んでいるシーンから始まる。彼女はクレープ屋の店主で、念願のお店をようやく構えたのだが、開店から数日経ってもお客がまったく来ない状況が続いていた。そんな彼女のもとに、念願のお客第一号が来店する。
お客は少し怪しげな風貌の男性だったものの、クレープを「…すごく美味しいですね」と褒めことで店主は悩みを打ち明ける。「なぜかお客さんが全然来なくて…」と愚痴をこぼすと、その男性は「お客さんは増えると思いますよ」「今日から」と、なにやら意味深なことを告げるのだった。
その後男性は店から出ると、“悪霊退散”と書かれたお札を店に貼り出す。すると、近くにいた女性たちは「なんで気づかなかったんだろ!?」と言ってお店の存在に気づき、クレープ屋はたちまち繁盛した。実はお店には“人を道に迷わせる悪霊”が憑いており、そのせいでお客が来なかったのだ。男性は「そういうイタズラをするなら、もっと面白いのがあるよ」と悪霊を誘導する。
場面は変わり、覆面を被った強盗集団があるお年寄りの男性の家を狙おうとしていた。そしてナビで老人の家を設定するのだが、先ほどの悪霊の仕業によってナビの表示を狂わせ、強盗たちは道に迷ってしまう。焦った彼らは、暗闇の中やっとのことで出口を見つけ抜け出すと、そこはなんと警察署の目の前…。結局、強盗たちは警察官から職務質問を受けることとなった。
実はクレープ屋に訪れた男性は霊媒師で、“人を迷わせる悪霊”の力を利用し悪を成敗していたのだ。こうして彼と悪霊の活躍で近隣の強盗率は激減し、繁盛したクレープ屋の店主からも笑顔が戻るのだった――。
“悪霊が悪を成敗する”というユニークな展開で描かれる本作。ネット上では、「まさに適材適所だね」「今の日本にも召喚したい」「悪霊を上手に活用するのは思いつきもしなかった!」「意外な展開で読み応え抜群」などの声があふれている。
こだわった点は“全員が幸せになれるようなオチ”
――『人を迷わせる悪霊を退治する話』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
この悪霊退治シリーズを作る時の起点となるのが「特殊な力を持つ悪霊がどう改心するのか」なのですが、能力を思いついてからオチを考える場合と、オチを決めてから能力を考えるパターンがあります。
今回は前者であり、「人を迷わせる能力を有効利用するならこうかな?」と考えて描きました。
――本作では、悪霊をただ退治するのでなく、“上手く活用する”という展開が印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
極力後味の悪いオチにせず、全員が幸せになれるよう心がけています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
ラストのシーンは結構気に入っています。
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
ネットやニュースを見ている時にパッと思い浮かんだりします。どれだけ考えても思いつかない時は何をやっても思いつかない時なので、切り替えて何もしないようにします。
――矢薙さんの作品は、先の読めないストーリー展開が非常に面白く、魅力的に感じます。作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか?
絵を描くこと自体は苦手なのですが、極力一目で何が起こっているのかわかるようには心掛けています。
――今後の展望や目標をお教えください。
今後も思いつく限りはシリーズを続けていければなと思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
これからも自分が面白いと思う作品を配信していきたいと思っているので、よろしくお願いいたします!