コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家・山口しずかさんの『30歳喪女、平成ギャルになる。』をピックアップ。
2024年秋放送のNHKの連続テレビ小説「おむすび」で“平成ギャル”がヒロインとして描かれることが決まり、SNS上でも大きな話題となっている。そんな令和のトレンドとして注目される“平成ギャル”をテーマに描く漫画が、『30歳喪女、平成ギャルになる。』だ。引っ込み思案な30歳OLがあることをきっかけに200X年にタイムリープし、憧れだった“平成ギャル”になるべく奮闘する物語を描き、読者から「刺さる」「懐かしい」と反響を集めている。この記事では自身もギャルであるという作者・山口しずかさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわり、作品に込めた思いについてを語ってもらった。また山口さんの親友であるギャル漫画家・浜田ブリトニーさんにも本作の感想を伺った。
30歳喪女がJK時代にタイムリープ!? 憧れの“ギャル”を目指し奮闘する姿に反響
しがないOL・鶴中彩は自分に自信がなく引っ込み思案な性格から、いつも明るく好きなように生きる“ギャル”に憧れを抱いていた。学生時代から密かにギャルになりたいと思いながらも、周囲の目を気にしたり「暗い私はギャルに向いてない」と決めつけたりと、これまで行動に移すことを避けてきたのだった。
そんな中、30歳の誕生日を迎えるも、親しい友人も恋人もいない彩は、好きなYouTuberが集うイベントに1人で参加することに。そこで、あることをきっかけにギャル2人組と出会う。さらに会場でプリクラを一緒に撮ろうと誘われ、劣等感から最初は拒否するも、ギャルの「後悔するよ!」の声にハッとする。これまでの半生を振り返り、後悔ばかりが蘇った彩は、勇気を振り絞ってギャルとプリクラを撮る。すると突然視界がぼんやりして、その場に倒れ込んでしまう彩。次に目を覚ますとそこはまさかの200X年で、高校1年生の頃の自分に戻っていたのだった。
突然の出来事に戸惑うも「この夢はギャルになれる最後のチャンス」と感じた彩は、目が覚める前に“平成ギャル”になることを決意。しかし、平成はまだYouTubeも普及しておらずスマートフォンもない時代。そこで、気が乗らないながらまずはギャル雑誌やメイク道具を買いに行ってみるが…。
ギャルにずっと憧れていた彩が、タイムリープを機に試行錯誤しながら“平成ギャル”を目指す中で、自分自身や人生を見つめ直す姿を描く本作。平成の流行やトレンドアイテムなどがふんだんに盛り込まれた各話も話題を集め、SNS上では「面白い転生きた!」「笑えていじらしくて泣ける」「面白い!」「懐かしい」「刺さる」「優しい世界」など多くの反響の声が寄せられている。
浜田ブリトニーさんインタビュー「めちゃめちゃ最高にアガる作品」
――山口しずか先生と知り合ったきっかけを差し支えない範囲で教えてください。
飲食店を経営してるのですが、その店舗に先生が遊びに来てくださって知り合いました。
――本作を読んだ感想、おすすめポイントを教えてください。
ギャル全盛期の時代が懐かしいなとおもいつつ、令和のギャルの勉強にもなりました。めちゃめちゃ最高にアガる作品なので若い子にも昔ギャルだった方にも読んでもらいたいです。
――平成のギャルカルチャーが改めてトレンドになり再評価されています。ギャルの変わらない魅力とは?
ギャルは基本テンション高くポジティブ、目立ちたがりなので、ギャルが流行ると日本経済も盛り上がるところが魅力です。
作者・山口しずかさんインタビュー「“ギャルマインド”を感じ取ってもらえたら」
――ギャルに憧れていた引っ込み思案な30歳の喪女・彩が、なぜか高1にタイムリープしてギャルを目指す物語が話題ですが、作品を思いついたきっかけは?
担当の編集さんとお話している時にできました。実はこの企画は、連載が始まる数年前に考えたもので、その頃はまだ私はどういうものが描けるか、描きたいか悩んでいたときでもあり…何本か企画案を出したのですがどうもしっくりこなくて打ち合わせの場をもうけてくださったんです。
そこで私がどういう人生を歩んできたかまで聞いてくださって、その中で「ギャル」というワードが出てきました。たしかに私ってギャル好きだよな〜と思いまして、でもその数年前はまだギャルが出てくる漫画も無ければギャル文化って終わった…?という時代で。
だったらタイムスリップをしてギャルになればいいんじゃない?と助言をいただき、それだ!!!となりました!めっっっちゃ担当さまのおかげです!(笑)
そこから数年経って、まさかのギャル漫画や転生・タイムスリップ漫画増え、平成ギャルという言葉自体が出てきて時代の流れに乗ってるような作品となり驚いてます。
――平成ギャルは令和のトレンドとなり、なんと2024年朝ドラのテーマにもなるとのことです。山口先生にとって特に印象深い平成ギャルの流行があれば教えてください。
やはりルーズソックスですかね!正直私の学生時代にはブームが終わっていたというか…すでに学校で禁止されていたので、同年代の子たちは憧れの気持ちだけをみんな抱えていました(笑)。
あとカラコンも印象に残ってます。令和は色素が薄めで透明感のあるものが多いと思うのですが、当時はド派手な色で縁が濃く、着色直径の大きいものが流行っていました。今はコスプレイヤーさんくらいしか付けていない気がするので平成っぽいかなぁと。
他には、当時アーティストの西野カナさんがブームで、明るい髪・ミニスカ・ブーツ・花柄・カンカン帽・ボヘミアンなどの格好が流行っていました。なので私も1日1花柄と決めて、トップス・スカート・帽子・眼鏡・アクセのどれかに花柄を入れた格好をしてました(笑)。
――ご自身もギャルとのことですが、ギャルとして楽しかった思い出、忘れられない思い出があれば教えてください。
あんまり「私はギャル!」と思って活動はしてなかったのですが(笑)。
大学時代は江ノ島の近くの神奈川県藤沢市で一人暮らしをしていたので、毎日の友達の家にいるか友達を呼ぶかして遊んでました。一人が寂しすぎてほとんど一人でいた記憶はないです!(笑)
急遽海に行ったり夜中に花火や肝試しをしたり、バイクや車で走り回ったり、毎日が楽しすぎて引くほど遊んでたと思います。もちろんそんなことしてたらお金が無くなるんですが、ギャルがよく言う「金ねぇ〜」っていうワードは私は意地でも言いたくなくて(笑)。アルバイトも掛け持ちしてしまくって睡眠時間を削って遊んでました(笑)。
ギャルっぽい思い出でいうと、海の家でのバイトは楽しめるかつお金もいただけるので最高でした!!
――ギャルとは一言で言うとどんな存在だと思いますか?
楽しい!!!ギャルって好きなメイクをしたり服を着たり、自分の好きなことをしているので人生楽しいんですよね。あとコミュニケーション能力が高くて、周りの人を楽しませたいっていうノリの良い子も多いので、周囲の人も楽しいんじゃないかなと思います!
――この作品に込める思い、漫画を通して伝えたいことがあれば教えてください。
ギャルって良いよね!!可愛いよね!!というのが伝われば嬉しいのですが、もっと深いところでいうと「ギャルマインド」を感じ取ってもらって少しでも明るい気持ちになってもらえれば嬉しいと思ってます。「ギャルマインド」とはなんとかなる精神や、好きならそれで良いじゃん!みたいなことかなと思っていて、総じてポジティブな気持ちです!
私は元々人の目がすごい気になったり、人からどう思われているのか気になるタイプだったんですが、ギャル時代を経てから大体のことは「いや気にしなくて大丈夫っしょ」って思えるようになりました。
なのでこの漫画を読んでくださった方にも、心の中でポジティブな意見をくれるギャルが産まれてくれたら良いなと思ってます。