声優としてTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などに出演、さらに映像作品や舞台俳優としても幅広く活躍する佐藤日向さん。お芝居や歌の表現とストイックに向き合う彼女を支えているのは、たくさんの本から受け取ってきた言葉の力。「佐藤日向の#砂糖図書館」が、新たな本との出会いをお届けします。
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夏といえば怪談。
この文化が日本に生まれたのはいつ頃なのだろうと毎年この時期に考える。小学生の頃は特に怪談や妖怪、都市伝説、そういった類の本が大好きで難しいものではなく小学生向けのそういったホラー系の本ばかり読んでいた記憶がある。今回紹介するのは私が高校生の頃から唯一シリーズを継続して購入している櫛木理宇さんのホーンテッド・キャンパス シリーズの新刊、「ホーンテッド・キャンパス 黒い影が揺れる」だ。
シリーズものの最新刊を紹介するかどうか迷ったが、このシリーズは本当に面白く、毎年一冊出る新刊が私の楽しみになっているからこそ、綴りたいと思い今回本作を選ばせていただいた。
元々、日本に伝わる怪談や妖怪が好きだった私だが、いわゆるジャパニーズホラーの映画が好きな母と一緒にホラー映画を見続けていたら段々とホラーに対して苦手意識が強まり、高校生になる頃には一切見ることが無くなっていた。そんな私に母がホーンテッド・キャンパスを買ってきてくれたのをきっかけに自分がこういったジャンルが好きだったんだと思い出させてくれた大切なシリーズになっている。
本作に惹かれるのは各キャラクターの個性が溢れていて、読み終わる頃にはまた彼らに会いたいと思わせてくれる作風だと私は思っている。オカルトについて博識な部長の言葉で知る、自分の知らない世界や主人公とヒロインの不器用な恋愛模様。大学で勇気が出ずにサークルに入らなかったことを後悔するくらい読むたびに「こんな人と出会いたい。こういった関係性を学生時代に築くことができれば大人になってもそれは続くんだろうな」と思わず羨ましくなってしまう。
なんといってもオムニバス形式で紡がれて行く物語は毎話引き込まれるものがあり、例えるならば「相棒」のシリーズを見ているようなそんな感覚だ。ホーンテッド・キャンパスで特徴的なのは"霊被害"にあっている初登場の人物の視点でプロローグを描き、その冒頭のシーンの伏線をオカ研と呼ばれる主人公たちが回収をしていく謎解きのような展開だ。
自分に居場所がないわけではないけど、こういった家族ではない帰れる場所を見つけられるのは本の魅力だと私は常々思っている。その中でもホーンテッド・キャンパスはそれが強く、霊感もないポンコツな私がオカ研に混ざって一緒に謎解きを年に一回している感覚になれる本作は今の私の生きがいだ。まだ手に取ったことがない方は是非この夏に、オカ研に入部してみてほしい。
https://ddnavi.com/serial/sato_hinata/
佐藤日向(さとう・ひなた)
12月23日、新潟県生まれ。
2010年12月~2014年3月、アイドルユニット「さくら学院」のメンバーとして活動。卒業後、声優としての活動をスタート。主な出演作に『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)、
『ラブライブ!サンシャイン‼︎』(鹿角理亞役)、『D4DJ』(福島ノア役)、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(暁山瑞希役)、『ウマ娘 プリティーダービー』(ケイエスミラクル役)など。ニコニコチャンネル「佐藤さん家の日向ちゃん」毎月1回生配信中。