ウツボって自分より大きな敵にも立ち向かうみたいなんです
教頭は「なすべきことをしに行きますか」と言って、3年の担任たちを引き連れて3年D組の教室に向かった。
教頭や九条らが教室に入ると、東風谷(當真あみ)が「私たちで話しました」とクラスとしての見解を伝えようとしたが、手で制し、「皆さんの顔を見れば、どんな結論が出たか分かります。しかし、生徒がすべきなのは考えることまでです。この結論は生徒の皆さんに言われたから出したというわけにはいきません。責任を背負うのは我々大人です」と伝え、「学校として向き合わせてください。お願いします」と生徒たちに深々と頭を下げた。
会見を開くことになり、九条は自分も同席したいと進言するが、教頭は「ダメです。これは私一人でやらせていただきます」と答え、4月に書いた「鱓(ウツボ)」の文字を見て、「ウツボって自分より大きな敵にも立ち向かうみたいなんです。かないましたね、今年の漢字」と言って一人で会見に臨んだ。
我修院教頭「責任があるのは生徒でも教員でもない。私です」
教頭は会見で謝罪し、警察の見解を伝えた上で、「学校の中でいろんなことを聞き取ると、その生徒は誰よりも強く生きていたんです。生きようとしていたんです。なので、現状の見解で結論とするのは尚早だと思いました。我々はその理由に全力に向き合いたい」と表明。
「関係のない人が憶測で言葉を投げかけるのはやめてください。ここは学校だからです。未来ある人がたくさんいて、その言葉で人生を左右されるかもしれない。それでも言葉をかけたい時、我慢できない時があれば、私に言ってください。私がここの責任者なので。責任があるのは生徒でも教員でもない。私です」とお願いし、「この学校が本件の生徒について本気で向き合う時間を作るためなら、私は何でもするということです」と、ここでも“何でもする”という言葉を使って意思を伝えた。
“向き合う”が必要だということを気付かされたのは生徒たちだけではなく、教師もそうだった。九条の強い思いは教師たちの気持ちも変え、教頭が学校における責任者として“なすべきこと”を行った。
3Dだけの問題ではなくった今、学校としてこれからどんなふうに動いていくのか注目したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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