コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、『鬼ヶ島から始まる桃太郎伝説』をピックアップ。
本作は、サンデーS増刊(小学館)に過去掲載された読み切り漫画で、日本人が昔から慣れ親しんだ「桃太郎」をテーマにしながら新たな設定をくわえて描いた物語が話題を集めている。7月5日に作者である舟本絵理歌さんがX(旧Twitter)にて公開したところ8.6万以上の「いいね」が寄せられ、反響が相次いだ。この記事では舟本絵理歌さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
桃太郎の生まれは“鬼ヶ島” 鬼と人間の因縁をハードな世界観で描く
昔むかし、あるところに鬼ヶ島と呼ばれる島があった。住民たちはみんな鬼であり、島ではそんな住民たちを牛耳る大きな鬼のボスがいた。
ある日、島に住む女鬼の一人・ホウセンカが密かに人間の男を匿っていたことが判明する。誰にも媚びず、いつも反抗的な態度を取るホウセンカのことが気に食わなかった鬼のボスはその事実を知って怒り、見せしめとして群衆たちの前で人間の男を殺してしまう。
恋人の無残な姿を目の当たりにしたホウセンカは「絶対にお前を殺してやる」と鬼を睨みつけた。その恐ろしい眼差しにゾッとしながらも、鬼はさらに追い討ちをかけるように一人の赤子を晒し上げる。角(つの)無しのその子どもは、ホウセンカと人間との間にできた子だったのだ。
命乞いも虚しく、赤子は鬼の手によって崖下へと落とされてしまう。そして声を上げて泣きながら、謀反者として自身も首を斬られるホウセンカ。これで何も恐れるものはないと安心した鬼の元に、15年後、ある人物が島を襲撃しにやってくる…。
鬼ヶ島を舞台に、全く新しい“桃太郎”伝説の幕開けが描かれた本作。登場人物それぞれの心理描写が秀逸で、わずか8ページながら読者をハラハラドキドキさせる展開が話題を集めている。X(旧Twitter)上では「めちゃくちゃ面白い」「熱い!」「その発想はなかった」「これは強くなる」「ハードな世界観」「本来の桃太郎よりも感情移入できる」「続きが読みたい!」「今後語り継いでいく昔話はこれでいこうぜ」など多くのコメントが寄せられ、反響を呼んでいる。
自分なりのドラマを乗せられるように 作者・舟本絵理歌さんが語る創作背景とこだわり
――『鬼ヶ島から始まる桃太郎伝説』はどのような発想から生まれたのでしょうか。創作のきっかけや理由があれば教えて下さい。
サンデーS増刊の8p読み切りバトルという企画で「桃太郎」というお題を頂き描きました。前作『殺し屋Sのゆらぎ』がハートフルなラブコメだったので、少し暗い雰囲気のものが描きたいなと思っていました。
――本作をX(旧Twitter)に投稿後、8.6万を超える「いいね」が寄せられ話題となっています。今回の反響について、舟本絵理歌さんの率直なご感想をお聞かせ下さい。
たくさんの方に読んでもらえて嬉しかったです。ショートショートのつもりで描いたので、続きが読みたいという声をたくさん頂いて驚きました。
――本作を描く際にこだわった点や「ここを見てほしい」というポイントがありましたら教えてください。
鬼と人間の間にできた子供が桃太郎、というネタそのものは探せば他にもあるかもしれない、と思ったのでそこに自分なりのドラマを乗せられるようにこだわりました。
――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
あの人に良く似た瞳、という話が好きなのでラストを描くことができて良かったです。あと大きい犬が描けて楽しかったです!
――舟本さんがサンデーうぇぶり(小学館)で連載中の『双影双書』は、6月16日にコミック2巻が発売され、皇宮を舞台にした物語が話題を集めています。作品の見どころについて教えていただけますか。
古代中国風の宮廷の中で成長していく皇子と影武者の二人の少年の物語です。とりあえず一巻だけでも読んでみて!とおすすめしたくなるような漫画になったらいいなと思い単行本を作りました。読んで頂けたらなにより嬉しいです。
――今後の展望や目標をお教えください。
もっと絵が上手くなりたいです…!
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
漫画を読んでくださりありがとうございます。たくさんの物語の中から、自分の描いた漫画を見つけて読んでくれる人がいるということにいつも救われています。お手紙などで、キャラクターの名前を読んでくれているのを見ると、幸せな気持ちになります。これからも大切に描いていきます、どうぞよろしくお願いします。