「ツイン・ピークス」カイル・マクラクランが語る新作誕生の秘密
いよいよ放送開始となる、鬼才デヴィッド・リンチ監督による伝説の海外ドラマ、新作「ツイン・ピークス」。1990~91年放送(日本では91年放送)の旧作で主人公のクーパー捜査官を演じ、一躍時の人になったカイル・マクラクランは、今回も「25年後」のクーパー捜査官を演じる。インタビューで、謎に包まれた作品の魅力に迫った!
――リンチ監督から、新作のオファーを受けたときはどう思いましたか?
「最初は監督から電話がかかってきて『話がある』ってことで。電話では話せないというので、ニューヨークで彼の泊まっていたホテルにいって、そこで初めて『ツイン・ピークスの新作をやるんだけどどうだ?』って言われたんです。私にしてみれば、何年も彼に『ツイン・ピークスやらない?』って言ってきたんですけど、彼は『やらない!』って(笑)。でも、ファンからもSNSには『やってほしい!』っていう書き込みがあるのは知っていたし、今回の新作の話はとてもうれしかったですね。大好きなこのデイル・クーパーという役に戻れることに、すごく興奮しました」
――旧作「ツイン・ピークス」は、「X-ファイル」など大きなテレビシリーズに影響を与えている作品ですよね。
「テレビ界に大変な影響を与えたと思います。『ツイン・ピークス』以降は、それまで『テレビではできない』と思われていたことをやる作品が出てきた、実験的な作品も増えたと思います。当然、成功したものとしていないものがありますけどね…。そして、私にとっては『ツイン・ピークス』はキャリアを完全に変えてくれた作品でした。たくさんの監督やプロデューサーさんたちが『ツイン・ピークス』のファンで、だから僕を起用したいという声もたくさんいただけるようになった。リンチ監督が私を主役に抜擢してくれて、『ツイン・ピークス』をいっしょに作り上げた経験は、かけがえのないものです。彼からいろんなことを学び、影響をうけました」
――25年前の伝説のドラマ。若い人にはどのように魅力を伝えたいですか?
「若い人に求められるのは、なにかを見るというよりも、“体験”や“経験”だと思います。そういう意味では、『ツイン・ピークス』は“体験型”のドラマですからね。できれば最初から見て、はまってほしい。それは、チャレンジングな体験だと思うし、きっと彼らの予想を超えたものになると思います」
――新作にあたって、リンチ監督の演出が変わったところはありますか?
「彼は変わっていないです。ただある意味、“進化”はしている。前作より、シンプルになっていて、一方でよりパワフルになっています。新作の特徴として、映画を撮ってるような感覚で撮影にのぞんでいました。ひとつの大きな、長い映画を撮って、それをあとから全18話に分けるような感覚の作り方。普通のドラマだったら、『ここでコマーシャルが入る』とか『ここにクライマックスをもってくる』とかがあるけど、そういう意識がなくて、いわば、ゆっくりと展開していくような感じがありました。(全18話の)500ページ分の流れを全部把握してその中で自分がどういう状況にあるかを考えながら演じていたので、ちょっと違うチャレンジになっています」
――クーパー捜査官という役が大好き、ということでしたが、新しいクーパー捜査官はどんな存在ですか?
「思い出深いのは、(旧作で)一番最初にキャラクターを作り上げていったプロセス。いろいろ模索しながら、リンチ監督といっしょに練り上げていったのをよく覚えています。新作ではあえてリンチ監督が、いままでのクーパーをそのまま見せるのではないようにしています。『クーパーはいるんだけどいない』というか…。そこは、見る方に挑戦状を突きつけているようなところがありますね」
聞けば聞くほど、謎が深まり、期待が膨らむ、新作「ツイン・ピークス」。一足先に本国アメリカでは放送が始まり、話題を巻き起こしている。デヴィッド・リンチ監督が作り出す不思議な世界の魅力を、「体験」してみては?
新作「ツイン・ピークス」
7月22日(土)スタート 毎週土曜夜9:00ほか(二ヶ国語版) 毎週金曜夜11:00ほか(字幕版) WOWOWプライム
※第1話無料放送