岡宮来夢による“一人ミュージカル”「BOOK OPERA クルム童話『ケリナツス〜七匹目の仔山羊〜』」が、2023年12月7日(木)～17日(日)に東京・池袋のMixalive TOKYO 6F Theater Mixaにて上演される。初舞台からわずか5年、弱冠25歳ながら、「ミュージカル『刀剣乱舞』」シリーズや「『進撃の巨人』-the Musical-」といった大人気2.5次元作品で重要な役どころを務めつつ、グランドミュージカルでも活躍する岡宮。彼が新たな挑戦となる一人芝居の本作で目指す表現について、また大きなチャレンジに向き合う際の姿勢や、俳優としての現在地について聞いた。
ファンタジックながら、生きる意味を考えさせられる作品
──今回“一人ミュージカル”を行うことが決まったときの心情を教えてください。
めっちゃ楽しみな気持ちと、「できるかな」という不安な気持ちがせめぎあっていました。今回は津田健次郎さんが声で出演してくださいますけど、舞台上で動くのは自分一人なので自分の力量も試されますし。すごくチャレンジングなことになりそうですが、でもやってみたいと思いました。
──タイトルは、「BOOK OPERA クルム童話『ケリナツス〜七匹目の仔山羊〜』」ですが、どういった内容になりそうですか？
拓馬さん(今作の脚本・演出を手がける末原拓馬)が、グリム童話「おおかみと七ひきのこやぎ」から着想を得て書いてくださいました。誰かの背中を優しくツンと……押すというよりは支えるくらいの物語になっているのかなと。観終わったあとに30分くらい考えたくなるんじゃないかなと思います。
──内容には岡宮さんの意見なども反映されているのでしょうか？
はい。打ち合わせに参加させていただいたのですが、その中で拓馬さんが感じた僕のパーソナルな部分が反映されていると思います。というのも、僕はディズニー作品がすごく好きなのですが、そういうファンタジックなものと童話は親和性が高いんじゃないかという話から、グリム童話を基にした作品にしようということになったので。
──ということは、今作もファンタジックなものに？
そうですね。でも一方で、現実を捉えているものでもあって。「おおかみと七ひきのこやぎ」を基にしつつも、創作部分ももちろんあります。だから、いろいろな人に刺さる作品になるんじゃないかな。例えば夢を追いかけている人だったり、「こういうことがしたかったわけじゃないんだよ」と現状に悩んでいる人だったり、ずっと心に何かが引っかかっている人だったり。
──先ほど「観終わったあとに30分くらい考えるかもしれない」とおっしゃっていましたが、本当にいろいろなものを受け取ることのできる作品になりそうですね。
本当にそうだと思います。僕自身が最近そういう経験をしたのが、ディズニー映画の「ソウルフル・ワールド」という作品を観たとき。これはもうぜひこの記事を読んだ皆さんに観ていただきたい映画なんですけど(笑)。この作品を観て僕は、夢を追うのはすごく素敵なことだなと思うと同時に、それだけじゃないなとも感じたんです。自分が生きる意味みたいなことまで考えさせられた。今作は「ソウルフル・ワールド」と近い……と言うと違うんですが、観終わったあと同じように深く考えさせられるような作品になるのかなとは思っています。でもそれだけじゃなくてお子さんでも楽しめると思う。本当に大人から子供まで、なんなら僕のことを知らない人にも楽しんでもらえるような作品だと思います。
単に綺麗な歌より、感情を揺さぶる歌を歌いたい
──一人ミュージカルということで、岡宮さんは複数役演じると伺いました。演じ分け、歌い分けも必要になってきますよね。
そこに関しては、今はまだ想像もつかなくて。でも、多少なりとも声色や歌い方に変化を付けないと、お客さんも、今誰が歌っているのか、どの気持ちで歌っているのかがわからなくなってしまうので、気を付けたいなと思っています。今年の3月にミュージカル『ジキル＆ハイド』(※石丸幹二と柿澤勇人がWキャストで主演を務めた)を観に行かせてもらったのですが、石丸さんの演じ分けがすごくて。僕のそういうものも出していけたらいいなと思うし、スキルアップにもつながりそうで楽しみです。
──岡宮さんはこれまで様々なミュージカルに出演していますが、ミュージカルの魅力はどのように感じていますか？
ミュージカルで「なぜ歌うか？」を考えると、音楽がその世界に運んでくれるからなんですよね。例えば、今年「『進撃の巨人』-the Musical-」をやらせてもらったときには、凄惨な状況の中であえて女性がすごく美しく歌うことで、より悲しい気持ちになった。そうやって音楽が感情の引き金になるのが面白さの一つなのかなと思います。あとは単純に、エンタテイメントとして、素晴らしい歌、素敵な歌を聴くこと自体が楽しむファクターの一つになるというのも魅力ですよね。……ただ、そこに酔いしれたくないなということも思っていて。もし僕が綺麗に歌えたとして「僕の綺麗な歌を聴いてください」ということではなくて、心の叫びとして歌って、結果的に多少音程を外したとしても、それを聴いて、一緒に辛くもなってほしいし、楽しくもなってほしい。そういう歌が歌える人になりたいなと、常々思っています。
──「多少音程を外したとしても、感情を揺さぶることのできる歌を歌いたい」というのは、ミュージカルを始めたときから思っていましたか？それともやっていく中で感じるようになったことですか？
やっていく中でですね。いろいろな作品を観に行かせていただく中で、「この作品好きだな」「この俳優さん好きだな」と思うように、「こういう歌が歌えるような役になりたいな」と思うようになりました。
──特に惹かれた俳優さんや作品を挙げるなら？
たくさんいらっしゃるんですけど、ミュージカル『王家の紋章』でご一緒させていただいた新妻聖子さん。聖子さん演じるアイシスが、自分の愛が報われなかったときに歌う歌があるのですが、稽古中にその曲を聴いたとき、僕めちゃめちゃ泣いちゃって。あのときの衝撃は忘れられないです。もちろん聖子さんは音程は外さないですが、とにかく魂の震えのようなものを感じました。
BOOK OPERA クルム童話『ケリナツス〜七匹目の仔山羊〜』
2023年12月7日(木)～17日(日) 東京・池袋 Mixalive TOKYO 6F Theater Mixa公式サイト
https://s-size.co.jp/stage-info/stage/kurumu-st/
公式X(旧Twitter)
https://twitter.com/BO_Kurumus_ft
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