雨のパレードが「下北沢ダイハード」エンディング曲の裏話を告白
テレビ東京系で放送中のドラマ「下北沢ダイハード~人生最悪の一日~」。小劇場で活躍する人気劇作家11人が脚本を書き下ろし、気鋭の映像作家たちが演出する1話完結型オムニバスドラマだ。
今回、ドラマのエンディング曲を手掛けるバンド・雨のパレードの福永浩平(Vo)、山崎康介(G)、是永亮祐(B)、大澤実音穂(Dr)にインタビューを敢行。柄本明が下北沢を自転車でブラブラしている不思議な映像に乗せた心地よい音楽が視聴者の支持を集めているが、この曲ができるまでの過程やこだわり、さらにファンの間でも話題を呼ぶエンディング映像撮影時の裏話を明かしてくれた。
――「下北沢ダイハード」のエンディング曲を手掛けることを知った時の第一印象を教えてください。
福永:初めてドラマのタイトルを聞いた時は、内容がまったく想像つかなくて、ちょっと“大丈夫かな?”とは思いました(笑)。でもプロットを見た段階で面白いドラマだという確信はありましたね。読み終わった後に人が走る、疾走感のあるイメージが自分の中に湧き上がったんです。
そういった映像を想像しながら曲が出来上がったのですが、結果的に柄本さんが自転車で下北沢の街をブラブラしているものになったので、遠くはなかったのかなと。ただ、個人的にはもっと速く走ってほしかったですけどね(笑)。
――(笑)。そうして生まれた「Shoes」ですが、どんな曲になりましたか?
福永:元から雨のパレードにはノスタルジックな雰囲気のある曲が多いのですが、今回はそこをさらに強く出せたかなと思います。新しい雨のパレードの一面を見せられた曲ともいえるかもしれません。あえて笑ってしまうようなアレンジを加えてみたり、これまでと違うアプローチの仕方で、作る時はいい意味でゆるい気持ちで、楽しんで臨みましたね。
大沢:ドラムのフレーズも懐かしさを意識して、あえてシンプルな作りになったかと思います。これまではサンプリングした音をよく使っていたのですが、今回は生の音をセレクトしています。
是永:シンプルに、ベースもエフェクターをほとんど使わず、懐かしい感じに仕上がりました。あえて安っぽく、ちょっとかわいい感じですね。
山崎:スタジオにある80年代から90年代の設備をフル活用して、当時の最大スペックで収録したんですよ。だから無理してアナログ感を出した訳ではなくて当時の空気感を真摯(しんし)に再現しているというか、持ってくることができたイメージですね。そこは割と大きかったと思います。
――プロデューサーから“街と希望”という曲に対するリクエストがあったと聞きました。街は下北沢だと思いますが、“希望”はどんなイメージで反映されているのでしょうか?
福永:僕にとっての希望のイメージは、少しひねくれているかもしれませんが、都合よくすがってしまうもの…といった感じです。歌詞には青春や少年心みたいなものを詰め込みつつ、僕たち自身が聞いてくださっている方々にとっての希望でありたい、といったところでしょうか。
――ちなみに皆さんにとっての下北沢のイメージは?
福永:ゴリッゴリにライブしてましたよ! インディーズの時はほぼ下北沢でしたね。機材も子どものサイくらいのサイズで…。
大沢:分かりづらいよ(笑)。
福永:(無視して)そんなのを電車で運んでました。
大沢:鹿児島から上京してくる時に、住みたい所を話していてまず下北沢が挙がってました。それくらい、音楽の街というイメージだったんです。
――エンディング映像も下北沢で撮影されたそうですが、皆さんも出演されていますよね?
大沢:現場では、柄本さんがいるなと…まずいらっしゃるんだなと…もう、ただただレジェンドが目の前に…なんというか…。
福永:下手くそか(笑)!
山崎:それくらいオーラがあったことは間違いないよね(笑)。近所の人にめっちゃでかい声で話し掛けられてました。本当に自転車でブラブラしているだけだったから、撮影って思われなかったみたいで(笑)。「いま撮影中だから!」って。すごく街になじんでいましたね。
福永:ちなみに僕も友達に見つかって、「こうへいじゃーん!」って話し掛けられました(苦笑)。しかも撮影中って言ったら「なんかカッコつけてると思ったんだよね~」って変な納得のされ方をして、結構恥ずかしかったです(さらに苦笑)。
――そんな裏話を聞いた後にもう一度映像を見てみるとなんだか見方が変わりますね(笑)。それでは最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
大沢:作家さんが毎話変わりますし、内容も違うので、エンディング曲「Shoes」で終わることによってドラマにまとまりが出たらいいのかなと思っています。
山崎:イントロが入ってくる瞬間がキュンポイントなので…そこにもぜひ注目してください。
是永:たくさん聞いてほしいです。
福永:ちょっとシンプル過ぎ(笑)! 僕は柄本さんをちらっと見る、渾身(こんしん)の演技に注目していただきたいです。ちなみに僕は1テイク目がよかったんですけど、2テイク目が採用されてて…ちょうど友達に話し掛けられた直後だったので、なんだか変な感じなのですが(笑)、ぜひエンディングまでしっかり見ていただければうれしいです。