声優としてTVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』などに出演、さらに映像作品や舞台俳優としても幅広く活躍する佐藤日向さん。お芝居や歌の表現とストイックに向き合う彼女を支えているのは、たくさんの本から受け取ってきた言葉の力。「佐藤日向の#砂糖図書館」が、新たな本との出会いをお届けします。
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先日、アフレコの帰りに本屋さんに立ち寄ったら「どこでもいいからどこかへ行きたい」というタイトルを目にし、私って今、どこでもいいからどこかへ行きたいのかもしれない。とふと気がついた。
今回紹介するのはphaさんの「どこでもいいからどこかへ行きたい」というエッセイ作品だ。
本作はphaさんが特別な旅ではなく、仕事の効率を上げる為に少し遠くまで足を伸ばしてとにかく普段と違う環境を過ごす方法について記されている。例えば旅先では特別なご飯を食べなきゃと思いがちだが、チェーン店さえあればなんとかなる。そして当日に交通手段も宿泊先も確保することが可能なんだから、旅行を特別にしすぎず違う場所に足を運ぶその行為自体が大切だということが全体的に描かれていた。
思えば大学生までは(と言っても去年の冬まで大学生でしたが)もう課題と向き合うのは無理だと感じた瞬間は気軽に旅に出ていた気がする。
私の母は敢えて計画をせず旅をすることが好きな人だから、母が「温泉いきたい」と思い立ち荷物の準備をし始めたら便乗してついて行くことが私にとっての旅行の基本だ。
私のことは私が1番理解しているつもりだが、私という人間はとにかく同じ環境がダメなようで課題をこなすスタイルもこの書評を書くタイミングもその日の気分によって集中しやすいやり方が毎度違う。
電車の中で自分の考えの大枠だけ携帯にメモをして学校でプレゼン準備をする日もあれば、家で寝ずにやる日もあったし、帰り道に公園に寄って公園のベンチで課題をやった日もあった。
今思えばあれは私にとって場所を変えるだけでちょっとした旅行のような気分を変えるきっかけになっていて、ある意味リフレッシュが出来ていたのかもしれない。
卒業した後の私は台本を覚えるのだけは絶対に家、しかも0:00以降じゃなきゃ覚えられないという謎のマイルールが存在する為なかなか家から出ることが出来ない。
この半年あまり自分の気持ちに気がつけていなかったが、「どこでもいいからどこかへ行きたい」と思う瞬間は何度もあったように思う。
旅に出る力すら残っていないと感じたら、それは危険信号なのかもしれない。
この仕事をしていると、思い立った瞬間にどこか遠くへ行くことは難しいが、行き詰まったら行きたい場所の目安をつけるのは、「休める時に行ける場所ある」と思えて楽しくなるのかもしれない。これから私はもし少しだけ時間ができたら行きたい場所をピックアップしながら、どこかへ行ける日を楽しみに頑張りたいと思う。
息抜きの仕方、自分が今どうしたいのか悩んでいる人に是非おすすめをしたい作品だ。
https://ddnavi.com/serial/sato_hinata/
佐藤日向(さとう・ひなた)
12月23日、新潟県生まれ。
2010年12月~2014年3月、アイドルユニット「さくら学院」のメンバーとして活動。卒業後、声優としての活動をスタート。主な出演作に『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』(星見純那役)、
『ラブライブ!サンシャイン‼︎』(鹿角理亞役)、『D4DJ』(福島ノア役)、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』(暁山瑞希役)、『ウマ娘 プリティーダービー』(ケイエスミラクル役)など。ニコニコチャンネル「佐藤さん家の日向ちゃん」毎月1回生配信中。