コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家のさく兵衛さんが描く『君は最高の相棒』をピックアップ。
X(旧Twitter)で2023年8月17日に投稿したところ、7.8万件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、さく兵衛さんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
飼い主とペットの柴犬は最高の相棒…しかしある日、1匹の子犬がやってきた
このお話の主人公は柴犬のテツ。最高の相棒である飼い主のカオリと楽しく暮らしていたが、ある日、カオリが新しい子犬を連れてきた。
「テツー ほら見て 新しい子を連れてきたよ」
カオリが子犬を可愛がる様子に嫉妬してしまうテツ。カオリの気を引こうと、自分の可愛さをアピールしてみるが、気にかけてくれる様子もなく、ご飯を作りにいってしまう。テツは“自分はもうお払い箱なのか…。”と悲しくなってしまうのだった。
と、そのとき。子犬は体調が悪くなった様子で、ぐったりしていた。子犬に強い嫉妬心が芽生えていたテツだったが――
「ワン ワンッ」
大きな声で鳴いて、カオリに危険を伝えた。すぐに子犬の元へ来たカオリは動物病院へ連れていき、事なきを得た。子犬は大事をとって入院することになった。
帰りの車の中、カオリが「テツ…キミが私を呼んでくれたんでしょ?」と話し出すと、テツとの思い出を巡らせ始める。そして、帰宅後にカオリが向かった先は、テツの仏壇の前だった。そう、テツは3年前に亡くなっていたのだ。
カオリが子犬の不調に気付いたときには、テツが教えてくれたと思い、犬のおもちゃが床に転がればテツが慰めてくれていると感じる。新しい家族を迎えてからも、飼い主のカオリはいつもテツをそばに感じていたのだ。そして、カオリはぽつりとつぶやく。
「ありがとう…やっぱりキミは最高の相棒だよ」
そう、テツと同じようにカオリも最高の相棒だと思っている。これまでも、そしてこれからも…。
この漫画の投稿へは、犬が好きな人やペットを飼っている人から、「愛しさと寂しさが込み上げてきます」「ぼろ泣きです」など、多くの反響コメントが寄せられた。
作者・さく兵衛さん「私の作品が犬好きの人に届いて嬉しかった」
――『君は最高の相棒』を描こうと思ったきっかけや理由などをお教えください。
当時は、感情を描くことを意識して作品を描くことを自分自身のテーマにしていました。
この作品の時は“嫉妬”をテーマにして作品を描こうとして、結果として『君は最高の相棒』が生まれました。
あとは犬が好きだったので柴犬を主人公にして描きたかったのと、人間の嫉妬だと全体的に重くなってしまいそうだったから、今回のような作品に仕上がりました。
――作品を描くうえで、特に心がけたところ、大切にしたことなどをお教えください。
柴犬を描く上で、実際に実家で飼っている柴犬を参考にして、自然な犬の仕草や肉付きなどをリアルに感じられるように意識しました。
――X(旧Twitter)上では、今作のほかにも犬が描かれている作品を多く投稿されている印象がありました。さく兵衛さんにとっての犬の魅力をお教えください。
多分実家で犬を飼っているから親しみが生まれやすいというのもあると思うのですが、犬と一緒に過ごしていると感情が人間みたいにわかりやすいというか。
今作みたいに嫉妬してるなというもそうだし、いたずらがバレた時に「あ、やべ」という顔をしてたりとか、単純な怒りや悲しみだけじゃない複雑な感情、人間臭い感情を垣間見るとかわいいなと。多分それが魅力の一つなんじゃないかなと感じています。
言葉が通じないけどなんとなくわかる感じが。
――今回の漫画に対して、読者から“泣いてしまった”という声が多数寄せられました。今回の反響をどのように受け止めていらっしゃいますか。
過去に書いた漫画を再掲載した形だったので、また改めてたくさんの反響をいただけて嬉しいというのと、驚いたというのが第一印象でした。
今回掲載したタイミングがお盆前だったのもあるのかもしれませんが、前回掲載した時よりも1.5倍くらい反響が大きくて。
より作品にフォーカスした反響で言うと、(読者さんが)それぞれ家族同然に暮らしていたペットを亡くしてしまったりとか、実はうちの子も“テツ”という名前だったんですとか、そういう人からたくさんの反響をいただいて、反響があることは嬉しいのですがそう言ったエピソードを聞くと感情移入しちゃう側面もあって、なんというか色々な感情が複雑に絡んで一言では言い表せないです。。。笑
だけど純粋に、私の作品が犬好きの人に届いて嬉しかったです。
――今後の展望・目標をお教えください。
そうですね、私は結構今までエッセイ系の漫画を主に描いてきたんですけど、今回の犬の漫画みたいに創作漫画をどんどん世に出していけたらと考えています。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
いろんな作風で多くの作品を描いてきて、作風が異なるのにも関わらず“いいね”とかコメントとか、反応をしてくださる読者の方やファンの方へは感謝しています。
これからも面白い作品が描けるように頑張ります!