語りを務める上で意識したのは「近すぎず離れすぎずの距離感」
――語りを務める上で心がけていたことはありましたか?
朝ドラは本当に幅広い世代の方が見ている作品なので、きちんと聞き取りやすいようにということを意識していました。今回に関しては、例えば主人公の母役といった設定があってのナレーションではなかったので、より客観的に物事をきちんと伝えることを心がけていました。近すぎず離れすぎずの距離感がいいのかなと。
――声の仕事は演技とはまた少し違うかと思います。声を保つために意識したことはありましたか?
週に一度収録に参加していたのですが、喉の調子が悪くなって途中でご迷惑をおかけすることもあり…、声のお仕事を普段からしている方のすごさを感じましたし、常に喉を良い状態で保つ難しさを改めて実感しました。
喉に良いお茶を飲んでみたり、蜂蜜を舐めてみたり、イガイガし始めた時に対処してみたりといろいろ試行錯誤しながらやっていましたが、どれだけ気をつけていても声が枯れてしまうこともあり、維持することがとても大変でした。
――これまでのシーンの中で、思わず感情が乗った場面はありましたか?
誰かが亡くなってしまうシーンは感情が乗ってしまうので、最初に台本を読んだ時にワッと一回泣いて、ナレーション収録の時には俯瞰で見られるようにしていました。
子供が亡くなるのは耐えられないことなので、特に園ちゃんのシーンはどうしても感情は乗ってしまうけれど乗せすぎず…。でも出ていいものだとも思い、素直にやりました。「こうしてほしい」という指示は監督からいただけるので、その都度修正していく感じでした。
「寿恵子さんがいたからこそ、万太郎さんがより愛される人になったのだと」
――「らんまん」で一番好きなエピソードはありますか?
たくさんありますが、私は竹雄(志尊淳)さんと綾(佐久間由衣)さんのご夫婦が好きです。何かあると空を見上げて大の字になって寝転がる綾さんと、そんな綾さんに寄り添う竹雄さんの包み込むような優しさがとても好きでした。
――万太郎と寿恵子夫婦への印象はいかがですか?
万太郎夫婦もまた違った魅力があって好きです。
自由に植物に夢中になっている万太郎が、ごはんをきちんと食べられたり睡眠が取れたりするのは寿恵子さんがいるから。彼女がいなければ、体も壊してしまうだろうし、もしかすると周りの人とのやり取りも上手くいかなかったかもしれない。やはり肝の座った奥さんがいたからこそ、万太郎さんがより愛される人になったのだろうと思います。神木さんも浜辺さんもとてもかわいらしい方なので、かわいい夫婦だなと思いながら見ています。