TVアニメ「SYNDUALITY Noir」(テレビ東京系ほか/ディズニープラスで独占配信)は、オリジナルアニメならではのアニメファンのかゆい所に手が届くストーリー展開と個性豊かなキャラクター、迫力あるロボットのバトルシーンなど、コアなアニメファンにこそ刺さる“王道”のロボットアニメとして第1クールを終え、第2クールが2024年1月より放送されることが発表された。素晴らしいクオリティーで約2カ月半楽しませてくれ、さらに新たな楽しみを与えてくれた作品だが、そんな中で出演している声優たちの能力の奥深さも感じられた。(以下、ネタバレを含みます)
「SYNDUALITY Noir」とは
同作は、バンダイナムコエンターテインメント、バンダイナムコフィルムワークス、BANDAI SPIRITSによる新規大型SFプロジェクト「SYNDUALITY」のアニメで、近未来を舞台にしたSFもの。浴びれば死に至る猛毒「ブルーシスト」の雨が降り注いだ大災禍「新月の涙」によって一度は地下へと逃れた人類だったが、100年以上の時を経て、再び地上での生活を取り戻しつつある。人類の敵「エンダーズ」の脅威がいまだ残る地上で、人々は「ネスト」と呼ばれる集落を形成し、人類双対思考型AI搭載ヒューマノイド「メイガス」と共に日々を送っていた。
西暦2242年。荒廃した地上でエネルギー資源を採掘する冒険者「ドリフター」になることを夢見る青年・カナタはある日、すご腕のドリフター・トキオ(CV:小林裕介)と共に廃虚となったミュージアムを捜索中、記憶を失ったメイガス・ノワールを発見する。ノワールは日常生活に必要なスキルが欠如しているポンコツメイガスだったが、エンダーズとの戦闘では抜群の能力を発揮。カナタはノワールをパートナーとして迎え、ドリフターとしての道を歩み始める、というストーリー。
大塚剛央の表裏のないまっさらな主人公像に感銘
ストーリーの面白さもさることながら、今作を振り返ると主人公のカナタを演じた大塚剛央の演技の妙を触れずにはいられない。本作はストーリーの軸が“カナタの成長物語”であるため、カナタの「真っすぐさ」や「めげない強さ」など主人公然とした誠実で実直なキャラクター性をブレずに演じ続けることが求められるが、大塚の演技は“常に作品を照らす明かり”のようにブレずに作品を引っ張っている。カナタが悩んだり落ち込んだ時でも、常に“この先に希望があるような雰囲気”をまとわせることで、表裏のないまっさらな主人公像を作り上げている。
これだけでも驚きなのだが、大塚といえば前クールで世間を席巻したアニメ「【推しの子】」ではアクアという“影のある戦略家”な役どころを演じており、この2役のギャップを加味するとさらに驚きが増す。豪速球のストレートも七色の変化球も投げられるオールマイティーなピッチャーのように、本作では演技の幅の広さを感じさせてくれた。
また、物語の途中から登場したシエルを演じた青山なぎさも能力の高さを見せてくれた一人。青山といえば「ラブライブ!スーパースター!!」で“お嬢様キャラ”葉月恋を演じるほか、葉月が所属するスクールアイドルグループであり、現実世界で音楽活動を行う声優ユニット「Liella!」の一員だが、本作のシエルでは「ラブライブ!—」では見せない“大人な上品さ”と、Liella!とは一線を画した劇中歌のソロ歌唱を披露。新たな一面を見せ、底知れない引き出しの多さを感じさせた。第2クールの鍵を握りそうな雰囲気もあり、期待したいところだ。
他にも、最終回で覚醒したノワールを演じる古賀葵の、同じ役で全く違うキャラクターを演じ分ける演技力も、見ていて思わず鳥肌が立った者も少なくないだろう。大塚“カナタ”と古賀“ノワール”のほっこりとしたやりとりに「癒やされた!」「このコンビ好き!」という声も各話オンエア後に上がっていたほど。最終回で覚醒したノワールは、第2クールで“セーフモード”に戻って、再びカナタと癒やし系のやりとりを見せてくれるのか、にも注目だ。
コアなアニメファンに刺さる作品でありながら、声優ファンにも響くキャストたちの能力の奥深さを感じられる貴重な作品となっている。
◆文=原田健
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/synduality-noir
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