コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は山田肌襦袢さんが描く『最強勇者パーティーは愛が知りたい』をピックアップ。
本作は、作者である山田肌襦袢さんがX(旧Twitter)“に投稿し18万以上のいいねを集めた読み切り作品『モテたいので俺をパーティーから追放してください!』を元にGANMA!(コミックスマート)で連載が開始された作品である。8月31日に自身のX(旧Twitter)で連載版の第1話を投稿したところ、5.3万を超える「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、山田肌襦袢さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。
最強モテ勇者が非モテ魔法使いを離さない理由に読者も驚き
物語は「俺をパーティーから追放してください!」と懇願する魔法使い・イツカに対し、勇者・シャーユが「断る」と一蹴するところから始まる。実は、世界を救い終わった勇者パーティーからイツカが抜けたがっているのには、なんとも不純な理由があったのだ。
強くて美形でモテ要素たっぷりのシャーユに対し、イツカは勇者パーティーに属しながら全くモテない存在。有名パーティーから追放されればチヤホヤされるという話を聞きつけ追放を申し出ていたたのだった。しかし、シャーユはイツカに対しても「僕はイツカが大好きなんだけどそれじゃモテてることにはならない?」カッコいいセリフを吐き、全く響いていない様子。
そんなある日、勇者パーティーのもとに異世界から召喚した勇者が現れる。シャーユたちが世界を救い過ぎたせいで仕事がなくなってしまったらしい。イツカと同じようにモテ願望のあった勇者は早々にイツカと意気投合するもまさかの暴走をはじめてしまう。
一旦はシャーユたちの力で暴走を抑えたものの、ほかにも暴徒化した勇者たちがはびこっているようだ。そこでシャーユは改めてイツカの力が必要だと説得する。そこにはシャーユの心に秘めた"ある思い"があり…。
さまざまな愛(ラブ)と欲望が交錯する勇者パーティーの冒険をギャグ要素たっぷりに描いた本作。X(旧Twitter)上では「設定から物語から絵柄から何もかも好きだ!」「最後まさかの心躍る展開…」「最高のパーティーじゃないですか」「いい意味で裏切られたわ」「読み切りから楽しみにしてた」「連載まってました!」などのコメントが寄せられ、大きな反響を呼んでいる。
「キャラクターが多いので、それぞれの描き分けを意識して」作者・山田肌襦袢さんが語る創作の背景とこだわり
――『最強勇者パーティーは愛が知りたい』はどのような発想から生まれたのでしょうか。創作のきっかけや理由についてお聞かせください。
大きく印象に残っているのは、SNSでの異世界転生マンガ広告のリプライ欄にあった、「また追放系か」というコメントです。「追放されなかったらこの人は読んでくれるのかな」とぼんやり思いました。それが最初のきっかけだと思います。
――本作では、最強モテ勇者・シャーユのまさかの素顔やモテにこだわる魔法使いイツカとのこれからに注目が集まっています。描く上でこだわっている点や意識していることがあればお聞かせください。
一番はやはりシャーユをいかに美形に見えるように描くか、というところですね。体格が良いだけで男性ではないので、ふとした表情に女性を感じつつ、しかし戦う勇者なので雄々しい部分もあり……という、読む人があまり性別というものを意識しないで包括的に「美形の勇者」だと思ってもらえるよう心がけています。あとはどうしてもキャラクターが多いので、それぞれの描き分けを意識しています。
――本作の中で山田肌襦袢さんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはあれば理由とともにお聞かせください。
1話1P目の「俺をパーティーから追放してください!」「断る」の流れは最初に思いついたところなので、気に入っている部分です。誰がどう見たって出オチなので、これが読者に刺さるか刺さらないかで命運が別れる、というヒヤヒヤを感じていたのもあります。典型的な関西人なので、スベるのが一番の恐怖でした。
――本作は読み切り版からスタートし、現在GANMA!で連載中ですが、連載化にあたりパワーアップした点や今後の見どころについてお聞かせください。
読み切り版では世界観や各キャラクターの設定などをあまり詳しく考えていなかったのですが、連載にあたってそれぞれを深掘りしています。順番に明かしていくと思うので、徐々に読む方にキャラクターを好きになっていってもらえると良いなと思います。
日本から異世界転生してきた勇者たちの業の深さにも、笑ってもらえると嬉しいです。
――山田肌襦袢さんは本作以外にも『27歳OL、異世界で遊女の管理はじめます』(コミックスマート)など、現実離れした設定かつギャグ要素の強い作品を手掛けられていますが、物語を創り上げる上でどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
一番の目標は「読んだ人に笑ってもらうこと」なので、設定が現実離れしていても、ネタ自体は普段の日常にあるものから選ぶことが多いです。あまりに突飛な発想ばかりが続くと、笑うより理解する方に意識が向いてしまうからです。逆にネタを日常から持ってくるので、舞台は現実離れしているぐらいの方がちょうどいいという感じでしょうか。
着想に関しては言語化するのが難しいのですが、机の上にある身近なものから10分で100個くらいネタ出しをして、机の上→家の中→外…とどんどん広げている間に使えそうなものが見つかる、という感じですね。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
読んでくださる皆様のおかげで、再度連載を開始することができました。ありがとうございます。
『最強勇者パーティーは愛が知りたい』、最初からフルスロットルで走る連載になっております。振り落とされても気合でついてきてくださると嬉しいです。よろしくお願いします!!