太古の土地“アス”で繰り広げられる英雄たちの運命を描いた壮大なファンタジー大作「アスダル年代記」シーズン2。毎週土・日曜に最新話が配信中の同作には、アスダルのトップに君臨するタゴンを演じるベテラン俳優チャン・ドンゴンをはじめ、双子のウンソムとサヤの一人二役の演じ分けを担うイ・ジュンギなど、実力派俳優陣が多数出演している。そんな中、ひときわ存在感を放っているのが、王妃・テアラを演じるキム・オクビンだ。今回はシーズン1からの続投キャストとして、底知れぬ不気味さも内包する王妃を体現し、視聴者を翻弄(ほんろう)しているオクビンについて紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
テコンドー黒帯所持の実力派女優
現在36歳のオクビンは、コン・ヒョジンやチェ・ガンヒらを輩出した、新人女優の登竜門的ホラー映画シリーズ「女校怪談」(2005年)に出演し、当時19歳でデビュー。彼女が高校生の頃に応募した、検索サイト「NAVER」が主催する「インターネットオルチャンコンテスト」に入賞したことが芸能界デビューのきっかけになったようだ。
テコンドー、合気道などの格闘技を得意とする彼女は、名匠パク・チャヌク監督作品の映画「渇き」(2009年)で、神父でありバンパイアのサンヒョンを演じるベテラン俳優のソン・ガンホと共演し、一躍有名に。当時、まだ新人女優だったオクビンだが、チャヌク監督が描く独特な世界観の表現や先輩俳優にあたるガンホとの体当たりシーンも見事にこなし、その演技力はカンヌ国際映画祭をはじめ、世界の映画祭で称賛を受けた。
その後もドラマ、映画と地道に出演し続け、着々とその名を広めていったオクビン。彼女の特技である“格闘技”を生かした代表作が、主演を務めた映画「悪女/AKUJO」(2017年)だ。同作では、無敵の“殺し屋”に扮(ふん)し、劇中ではほぼノースタントで激しい戦闘シーンに挑み、敵を次々と仕留めるアクションシーンを堂々と演じきった。また、テコンドーの黒帯級を所持するオクビンのアクションシーンを現場で見続けていた監督のチョン・ビョンギル氏は「(この映画は)彼女じゃなければ、撮影できなかった」とそのアクションスキルを絶賛。演技力だけではなく、アクションもデキる女優として監督をもうならせたことで、さらに知名度も上がっていった。
王道ラブコメ作品ではおちゃめな一面も
アクションや体当たりで挑んだ濡れ場シーンなど、派手な作品だけではなくおちゃめな演技もそつなくこなすのが彼女の魅力の一つ。近年出演したドラマ「その恋、断固お断りします」(2022年)では、恋愛に興味がなく、男性に負けることが大嫌いで人一倍正義感の強い弁護士・ミラン役で、いわゆる王道なラブコメディーでもその演技力を見せつけた。
これまでの強烈な役柄とは一転し、ひょうきんで喜怒哀楽の激しい“ザ・韓ドラ”作品でよく見るような女性キャラクターに扮したオクビン。フレンドリーで面白いシーンも多いため、これまでとのギャップに驚かされた。
そんな彼女の演技力がさらに発揮されている作品がドラマシリーズ「アスダル年代記」だ。オクビンが演じている王妃・テアラは、シーズン1で見せた堂々たる佇まいや愛するアスダル国王タゴン(ドンゴン)との駆け引き、そして時折見せる涙など、テアラが登場するやいなや物語が少しずつ進展していくような存在のため、強く印象に残るシーンが多い。
シーズン2の第1話でも、前作でタゴンとの間に授かった息子を守るため、自ら敵を仕留めるアクションを披露している。また冷静で頭脳派なテアラは、運命的な再会を果たした双子のウンソム、サヤ(共にジュンギ)にわなを仕掛けるなど、常に裏で何かを動かしている雰囲気も秘めており、ストーリーの鍵を握る存在として今後も君臨するはずだ。
ドラマ「アスダル年代記」シーズン2は、ディズニープラス「スター」にて毎週土・日曜に1話ずつ独占配信中。
◆文=suzuki
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/arthdal-chronicles
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