コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ぞうむしプロさんの『ヒッチハイクの少年』をピックアップ。
元・トラックドライバーであるぞうむしプロさんが過去の経験や聞いた話を元に描いたホラー漫画『トラックドライバーの怪談 FIRST GEAR』に収録されている本作。2023年9月17日に自身のX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2.2万以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では作者であるぞうむしプロさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについて語ってもらった。
ヒッチハイクをしていた少年の本性に背筋が凍る
トラックドライバーのTKさんがSAに立ち寄っていると、1人の少年が「すみません!乗せてもらえないでしょうか??」とヒッチハイクの交渉をしてきた。普段なら無視するTKさんだが、どこか断ったらいけない気がして少年を乗せることにした。
少年にさまざまな質問をしながらトラックを走らせ、お金のない少年にPAでご飯を奢るなどして同じ過ごしていた。すると少年はPAに停まる護送車を見ながらいきなり道路にひっくり返っていた虫を踏み殺すのだった。
そんな少年に違和感をもちつつも目的地近くまで走らせたTKさんが「風呂入っていくか!」と提案すると、少年はいきなり布にくるまれた包丁を取り出す。驚くTKさんに少年は「あの時乗せてもらえなかったら…てか断られたら…僕はあなたのことを刺し殺していました」と衝撃の発言をし…。
1つの選択の違いが人生を変えるほどの大きな分かれ道になるという恐ろしさを描いた本作。ラストの少し力が抜けるようなオチも話題を集め、X(旧Twitter)上では「ぞくっとした」「展開がアクロバティックすぎる」「情けは人の為ならずか…」「虫の知らせってあるよなあ」「これぞ九死に一生」「最後いい意味で力が抜けた」「オチで現実に帰る感じがした」など多くの声が寄せられ反響を呼んでいる。
「厳しい状況でも、少しコミカルに、救いがあるような漫画に」作者・ぞうむしプロが語る創作の背景とこだわり
――『ヒッチハイクの少年』を漫画にしようと思ったきっかけや理由についてお聞かせください。
漫画のアイデアは記憶や想像がふとしたきっかけで混ざり合って思いつくことが多く、今回もそうでした。10年以上前、ヒッチハイクの青年を乗せたことがあります。彼の身の上話を聞くと、とても波瀾万丈な人生で驚きました。内容は書けませんが、自分だったら彼のように真っ直ぐ生きれないと思いました。
『ヒッチハイクの少年』は間違った道にいきそうな時、友人や誰かの何気ない一言で踏みとどまることができた自分の経験も少し含まれていると思います。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお聞かせください。
こだわった点は少年の危うさとドライバーTKさんの人情です。
マッチポイントのように人間はちょっとしたきっかけでどちらにも転ぶ。お腹いっぱいで眠れば、違った考え行動になると思っています。それが今回伝えたかったテーマです。
――本作の中でぞうむしプロさんにとって特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由とともにお聞かせください。
少年がゴト、と包丁を置くカットとドライバーTKさんがお金を渡すシーン、包丁を見つめるシーンが気に入っています。
セリフは「飯食って寝たら大丈夫だって!」「ま、いっか... どうすんだよこれ...」です。
――ぞうむしプロさんは、元トラックドライバーという目線から物流業界の少し恐ろしい内情や恐怖体験などを多く漫画にされていますが、「漫画にしよう」と思う基準や描くうえでとくに意識している点などがあればお聞かせください。
意識しているのは読後感です。厳しい状況でも、少しコミカルに、救いがあるような漫画にしようと心がけています。
――ぞうむしプロさんの今後の展望や目標、挑戦してみたいことがあればお聞かせください。
トラック、物流の漫画をずっと描き続けるのが目標です。
展望は『トラックドライバーの怪談』がアニメやドラマ化です。お声がけお待ちしております。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方々へ、メッセージをお願いします。
たくさんの方々に読んでいただけて嬉しいです!とても励みになります、ありがとうございます!!只今新作を描いております、公開の際はよろしくお願いします。
ご安全に!