2025年度前期の連続テレビ小説は、アンパンマンを生み出したやなせたかしと小松暢の夫婦をモデルにした「あんぱん」(NHK総合ほか)であることが発表された。
2025年度前期連続テレビ小説「あんぱん」とは…
連続テレビ小説第112作目となる同作は、原作はなく、モデルとなるやなせたかしと小松暢の夫婦の物語を大胆に再構成したオリジナル作品となる。戦前・戦中・戦後と激動の時代を生きたやなせと、やなせと共に生き、けん引し続けた「ハチキンおのぶ」の小松。そんな二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどり着くまでの人生を描く。
脚本は連続テレビ小説「花子とアン」大河ドラマ「西郷どん」の中園ミホが担当。小松をモデルにしたヒロイン・朝田のぶ役は、オーディションで選ばれる。
「あんぱん」の物語
昭和のはじめ頃、高知の町中をものすごい勢いで走る少女がいた。その少女は「ハチキンおのぶ」こと、朝田のぶ(あさだのぶ)。一方、幼い頃に父を病気で亡くした柳井嵩(やないたかし)は、叔父の家に引き取られ、そこでのぶと出会う。二人を結びつけたのは、一個のあんぱんだった。
戦争の足音が近づく頃、女学校に通っていたのぶは周りと同様に、妄信的な軍国少女となった。やがて戦争が始まり、嵩は出征。嵩は弟・千尋(ちひろ)を戦争で亡くし、のぶも最愛の人を亡くしてしまう。
女学校を卒業し、のぶは戦争で全ての価値観が変わり、「何が正しいかは自分で見極めなければならない」と新聞社に女性初の記者として就職。戦後、クズ拾いの仕事を辞めた嵩が新聞社に入社してきて、二人は同じ雑誌の担当に。嵩は東京で漫画家を目指したい気持ちがありつつも、生活していけるか不安だった。のぶはそんな嵩に「あなたも後から来なさいよ。先に東京に行って待ってるわ」と告げ、新聞社を辞め上京。
のぶを追いかけ上京した嵩と、六畳一間のオンボロアパートでの生活がスタート。お風呂はなく、トイレは共同。トイレの天井には穴があき、雨の日は傘をさして入らなければいけないが、晴れた夜には星が見える。そんな暮らしをおもしろがり、「どんな環境でも楽しめるこの人と一緒にいたい」と二人は結婚。『手のひらを太陽に』『アンパンマン』が世に出るのは、まだまだ先のことだった。