「俺が産んだ“息子”はそんな表情を見せているのか」みたいに、いい意味で驚かせてもらうことある
――歌詞を書くとき、どんなことを意識されたのですか?
実は今回、犬からの気持ちを想像して歌詞を書いてみました。僕は、中島みゆきさんの「空と君のあいだに」が大好きで、あの曲はドラマ「家なき子」(1994年日本テレビ系)の主人公・すずの愛犬・リュウの目線で書かれたという有名なエピソードがあるんです。いくつかアイデアが浮かぶ中で、犬の一途な感じ…無条件に大好き!という歌は、僕がこれまであまり歌ってきていなかったなと思い、ただただ好きだって連呼するみたいな歌を作ろうと思いました。レコーディング中、何度も「好きだ」が出てくるので、自分なりにあえて音程を少し外したり、崩して歌ったりして。そういう遊びみたいな感覚も楽しかったですね。
聴いてくださる方は、真っすぐなラブソングだと受け取っていただいても嬉しいし、もちろん犬の気持ちを重ねてもらってもいい。曲を作って世に送り出した後は、もう自分の曲という感覚はあまりないんです。
――産みの苦しみを感じながら作った曲なのに、なぜそう感じるのでしょう?
以前、「ボーリング」という曲を書いて、ひたすらめんどくせぇって連呼したことがあるんですよ(笑)。ですが、その曲を聴いたレコード会社の人は「逆説的応援歌」なんてうまいコピーを考えてくれました。そんなふうに受け止めてもらえるのは面白いと思ったし、思いもよらない感想をいただくと「俺が産んだ“息子”はそんな表情を見せているのか」みたいに、いい意味で驚かせてもらうことあるので、それも楽しかったりするんです。
――タイアップソングを作るとき、どんなシーンで曲が流れるか想像しながら作ることはありますか。
ありますね。こうしたシーンで流れたらいいなとイメージしながらフレーズを作るし、たとえイメージ通りでなくてもそれもまた面白いと感じられるようになりました。この楽曲は真っすぐな犬の気持ちを想像して書いたので、それに似合うようなアレンジにしたいと思い、変拍子などを入れたりせずシンプルに仕上げました。
以前はもっと自意識過剰だったから、初回の放送はテレビの前で「来るぞ、来るぞ、来るぞ、…来た!」みたいにかじりついて見ていて(笑)。そのたびに、言葉に尽くせぬ感動だったり、いろんな感情が胸を去来していましたが、最近は頭の中で映像と歌がどうなるかをイメージできるようになってきたこともあって、俯瞰して見られるようになりました。
――高橋さんは映画館でアルバイトをした経験があるほど映画がお好きだと思います。映画の主題歌もほどよい距離感で見守れますか?
それが、映画はちょっとまた違うんですよ。わざわざ足を運んで観てくださっても、エンドロールの途中で席を立つ人ってたくさんいますよね。時間の都合とか、混雑を避けたいからといった事情もわかるんですが、主題歌はエンドロールで流れるので、映画に関しては「皆さん、最後まで見て!」って、いまだにハラハラします。そう言いながら、自分も映画を観に行くと、途中で席を立ってしまうことがあるので勝手な言い分ではあるんですけど(笑)。
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ワーナーミュージック・ジャパン
たかはし・ゆう=1983年12月26日生まれ、秋田県出身。2010年にメジャーデビュー。2013年には初の日本武道館公演を敢行、CMソングやドラマ、映画などの主題歌も務め、2016年から自主催の野外音楽フェス「秋田CARAVAN MUSIC FES」を開催。12月15日からは、初の47都道府県引き語りツアー2023‐2024「ONE STROKE SHOW~一顰一笑~」を開催する
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