コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、「ホラー好きならはまること間違いなし」と話題の人気作品「外れたみんなの頭のネジ」の中で、特に人気の高かった「わしのこと見たやろ?」をピックアップ。
作者の洋介犬さんが7月9日にX(旧Twitter)で同作を投稿。そのツイートには合わせて1500以上のいいねと共に、多くの反響コメントが寄せられた。この記事では、洋介犬さんにインタビューを行い、創作のきっかけやこだわりについてを語ってもらった。
どこにでも現れる”見たやろおじさん“
主人公・ミサキは街のみんなが少しずつ狂っていっていることに気が付いた。
いつも挨拶をしてくれていたおばさんは、壁としか話さなくなり、好青年を絵に描いたようなおまわりさんも、人を撃つ真似をしながら奇声を発するように。
そして、ついにミサキにも影響が出たのだろうか。ミサキの部屋に“悪魔”が現れるようになった。「もしオレを信じさせきることができたら…魔力でお前を救ってやることができるかもな…」と言う“悪魔”に対して、ミサキはこの街が狂っていることを必死に説明する。しかし、なかなか信じてもらえず、この街はどんどん狂っていく…。
ある日、突然ミサキの前に現れた“見たやろおじさん”。電車で次の駅を確認していただけなのに「われのこと見たやろ」と言ってくる。しつこいので「見た」と認めると「何見とんねん。潰すぞ。」と両目を潰せるような形をした鉄の道具を向けてきた。
この恐怖はその日だけでは終わらない。受付カウンターを探すためにあたりを見まわしている時も、癒しを求めて動画をみている時も“見たやろおじさん“はミサキの前に現れる。「見たやろ」「見たやろ」「見たやろ」と何度もミサキを追い詰めていく…。
読者からは「なんの妖怪なんだろう」「目を潰せば勝てる?」「鏡を見せれば解決しそう」など、多くのコメントが寄せられている。
「大事なのは怖いに至るプロセス」作者・洋介犬さんが語る創作背景とこだわり
――「外れたみんなの頭のネジ」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
当時はGANMA!誌で歴女ものの漫画を描いており、ホラーと同時に好きな歴史漫画ものを試行していました。しかしやはりホラーの柱となる作品を描きたく思い、担当氏に企画提案したのが「外れたみんなの頭のネジ」となります。コンセプトとして「超常現象はなし」「サイコホラーのみで構成したオムニバス」というもので、挑戦的でしたが、成功したと思います。
――“見たやろおじさん”の恐ろしい顔がとても印象的ですが、ホラー漫画を描くうえでのこだわりがあればお教えください。
怖い顔などビジュアルも大事ですが、それが怖いに至るプロセスも大事だなと思っております。涼やかな微笑みのお面でも、たとえばその成り立ちに残虐悲惨な物語があれば「怖い」は構築できるので、その厚みを作ることを心がけています。
――「わしのこと見たやろ?」の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
最後にすりガラス越しに謎の得物をコツコツしているシーンが気に入っています。というより、あのシーンを描くためにそこまでのエピソードがあったとすら言えます。あそこから逆算して冒頭から組み立てたようなものです。
――「外れたみんなの頭のネジ」の登場人物の中で特に気に入っているのは誰ですか?
僕はスタイルとして特定キャラに愛着を持たないようにしているのですが(そうでないと死なせるべきシーンで躊躇してしまうので)、249話で初登場した「掃除屋さん」が気に入っています。どうもこういう異形の造形の方が好む傾向があるようです。
――今後の展望や目標をお教えください。
「外れたみんなの頭のネジ」は無事完結しましたが、11月よりKADOKAWAのWEB漫画サイト・コミックウォーカーにて「メメ」というホラー漫画の連載が始まりました。これはコンセプト的に「外れたみんなの頭のネジ」好きの方が引き継いで楽しんでいただける作品なのではと思いますのでぜひ楽しみにしていただければ。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
ホラーを主軸としながらも、洋介犬は野球で言えばナックルボーラー。「どこへ飛ぶかわからない変化球投手」ですので、「次は何を投げてくるのか」、ガチャのように楽しんでいただければと思います。今後ともどうかよろしくお願いいたします。
『外れたみんなの頭のネジ』を読む
■作者X(旧Twitter):洋介犬[@yohsuken]
■洋介犬さんのブログ:https://yohsuken.blog.jp
■「外れたみんなの頭のネジ」:連載ページhttps://ganma.jp/hazuneji
■ホラー漫画「メメ」はニコニコ漫画・KADOKAWA コミックウォーカーにて連載中