コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、原作・森田俊平さん、作画・アルデヒドさん2人で描く、困っている人を放っておけない天然な男の子と耳が聞こえない女の子の明るくクスっと笑える『耳が聞こえない子に中指を立てられる話』をピックアップ。
アルデヒドさんが10月6日に本作をTwitterに投稿したところ反響を呼び、2.2万件を超える「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、原作・森田俊平さんと作画・アルデヒドさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
朝いきなり中指を立てられ…隣の席の女の子に嫌われたくない理由に対する反応に「オチが完璧すぎる」と反響
榎本太陽(えのもとたいよう)は朝、教室に入ってすぐに隣の席の柊月乃(ひいらぎつきの)に中指を立てられる。話は遡り、太陽の登校前。月乃は友人に指文字を教えていた。月乃は耳が聞こえないため、手話、読唇術、筆談でコミュニケーションを取る。「せ」の指文字は、中指を突き立てることで表現すると説明する月乃。ちょうどそのタイミングで太陽が登校してきた。何も知らない太陽は、朝来ていきなり「くたばれ」と言われる理由を、頭の中をかけめぐらせ考える。昨日、先週、先月と宿題を写させてもらったことだろうか、と心当たりがある太陽。一方、月乃たちは始業前にトイレに行くと言って席を外そうとする。太陽は思わず2人を引き留め、宿題を写すなど頼むことは二度としないと頭を下げる。太陽の言葉足らずで誤解はあったものの、無事月乃から中指を立てられた真相を聞くことができた。
「いきなり中指立てられたくらいで慌てすぎだろ」と思う月乃。太陽は「だって柊には嫌われたくないからな」と言う。その言葉に「それって…」と、顔を赤らめる月乃。そこで太陽は月乃に嫌われたくない理由を明かす。
月乃に嫌われたくない理由を明かした太陽への、月乃の反応に対して「オチが綺麗」「オチが完璧すぎて」と話題に。モザイクを使った作画による演出にも「モザイクの有効活用」「秀逸」と反響が寄せられた。
「難聴」の一面を明るく楽しい漫画に 原作・森田俊平さん、作画・アルデヒドさん、作品への想い、魅力についてインタビュー
――「君は喧し閉じてよ口を!」を描こうと思ったきっかけや理由などをお教えください。作画担当のアルデヒドさんにつきましては、作画を担当しようと思った理由、魅力を感じた点などをお教えください。
森田:この作品は「難聴」を扱っております。「難聴」はテーマとして多くの人が重く捉えられるものだと思います。だからこそ、そうではない一面、明るく楽しいを漫画で表現できたらと思い描き始めました。
アルデヒド:僕個人の漫画連載が終わって少し暇になっていて、次の企画をぼんやり考えている時に話を頂きました。ネームを読んで漫画として面白いと感じた事と、テーマに温かみを感じて作画担当として参加したいと思いました。原作の森田さんが得意とするテンポの良い漫才、月乃に対してお構いなく接する太陽との勘違いラブコメ、ハンディキャップを持った月乃に対して、過剰に気を遣う事なく普通に接するクラスメイトたちの温かさと、魅力に感じた点は多くありました。
――「君は喧し閉じてよ口を!」の中で、特に気に入っている話がございましたら、理由と共にお教えください。
森田:10月に発売した単行本3巻に収録されている32話が特にお気に入りです。ヒロインの柊ちゃんが太陽くんへの気持ちに少しだけ気づく(違和感を覚える)回なのですが、そのシーンの柊ちゃんの表情がアルデヒド先生の絵のおかげでとても良いです。是非読んでほしいですね。
アルデヒド:部活見学回や、体育祭回が好きです。月乃は華奢だし儚げなイメージもあって、運動は苦手だと思っていたので、いろんなスポーツで抜群の運動神経を発揮したときにギャップがありすぎてネームを読んだ時笑ってしまいました。体育祭では騎馬戦で背後を取られた騎馬を倒すシーンがありますが、クラスメイトのサインがなくても何故か月乃なら出来そう…と思ってしまいます。
――森田さんにお伺いしますが、今回、完璧なオチが話題ですが、そういったオチや第1巻に収録されている「折りたたみ式の松葉杖もってるから」といったネタはどのように思いつくのでしょうか。
森田:オチに関しては、よりたくさんの人に楽しんでもらえるようにわかりやすいフリオチを意識して作っています。ネタに関しては大きく2通りありまして、そのときどきに思いつく場合と、使いたいツッコミから逆算してボケを考える場合があります。ちなみに「折り畳み式の松葉杖」の場合は後者のパターンです。その後のツッコミ「折り畳み傘じゃねぇんだよ」というフレーズを使おうと思い、出てきたものでした。
――アルデヒドさんが作画される際に、こだわっている点や工夫されているところをお教えください。
アルデヒド:表情、キャラの身振り手振り、構図に気を遣っています。月乃はよくツッコミ役になるのですが、その時の表情には注目して欲しいです。可愛さの残った顔芸が好きなので、あまり崩さない様にこだわっています。身振り手振りはかなり大事な所で、月乃と会話する際に相手の口がちゃんと見える様に立たせたり、会話をするキャラが身振りで「話しているよ」と気づかせてあげるような動作をなるべく入れています。月乃があまりにも自然に友達と接しているのでたまに忘れそうになってしまいますが、ダブルチェックを欠かしていません。構図に関しては、ネーム時のカメラアングルやコマ割りを絵的に映える形に変えています。特に見せ場は大ゴマと映えを意識しています。
――今後の展望・目標をお教えください。
森田:この漫画をよりたくさんの人にお届けできたらと思っています。
アルデヒド:良い作画にして、一人でも多くの読者に手に取ってもらい、売上や反響に貢献する事が目標です。魅力的な作品だと感じてもらえたので、こうして取り上げて頂けているとも思いますし、多くの方を動かすのに必要な事だと思っております。
――最後に、読者やファンの方へメッセージをお願いします。
森田:これからも楽しい漫画を作っていくので応援よろしくお願いします!
アルデヒド:エゴサ頻繁にしてます。感想めっちゃ見てます。励みになってます。作画担当として出来る事に限りはありますが、誠心誠意向き合って参ります。