野口氏「本当に長い間にわたって影響を与えてきた作品」
本作の描き出す宇宙開拓、宇宙移民の描写については、「手塚先生自身が明確な宇宙開発像をビジュアルでお持ちになっており、手塚治虫的なロケットや、手塚治虫的な宇宙ステーション像というのがわれわれの頭の中にもできあがっている。映画の一部を観ただけでも手塚先生の宇宙だよなと感じますね」と語った野口氏。
さらに、「もうひとつ思ったのが、この宇宙観はその後のアニメ作品に圧倒的な影響力を与えているんだなということ。それがハッキリ分かるのが、『機動戦士ガンダム』だと思うんです。人間が地球を出て行って、スペースコロニーをつくって宇宙移民となる。そして地球には戻れなくなった宇宙移民たちが、地球に戦いを挑むのが『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』ですよね。本当に長い間にわたって影響を与えてきた作品なんだなと思いましたね」と手塚作品の影響の大きさを語った。
宇宙飛行士ならではの観点での感想を語る
今回の映画化について、原作からアレンジした箇所を1つひとつ挙げながら「その味付けの仕方が実に見事だなと思うんです」と語る野口氏。本作の後半に登場する地球人の宇宙飛行士・牧村については「自分を投影しやすい役でしたが、『銀河系を飛び出して銀河団を外から見るのは初めてだろうな』というセリフがあって。宇宙を旅する宇宙パイロットというのは、そういう感覚を持つんだろうなと思いました」としみじみ。
その後も、田中プロデューサーから野口氏に向けて、本作に登場する星座の描写、宇宙生命体が存在する可能性、人間が住むことができる他の惑星があるのかなど、宇宙飛行士ならではの視点で感じたことについての質問が次々と投げかけられた。
また、原作コミックも発売された時期、販売している出版社などによって内容が少しずつ変わっているということを踏まえ、本作のラストシーンに込めた思い、そして「望郷」のキーワードから想起されることに話が進むと野口氏は、「国際宇宙ステーションからは常に地球がみえる。自分がそこで生まれてやがてそこで死ぬ、自分の知っている人たちも全てそこに居る、という(地球という)存在が目にみえているので、そこが自分の最後の家である、という感覚がすごくあります」と地球への思いを明かした。
その上であらためて地球への思いを尋ねられた野口は、「この作品の中で地球は残念ながら悲劇的な状態になっていますが、現の我々の地球はまだまだ本当に美しく、命のダイナミズムに満ちている天体です。幸いなことに、実際に住んでいる我々自身も地球の環境を守っていこうという気持ち、ムーブメントもある。今自分たちができることをしっかりやって、美しい地球が3000年、3500年以上続くように一緒に努力していきましょう」と観客にメッセージをおくった。それを聞いた田中プロデューサーも「今、この作品をつくったことを、ほめていただいたような気がします」と感激した様子を見せた。
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